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研修ゲーム実施のポイントとは?

教える側が主役と考える「意図主義的教育観」と、教わる側が主役と考える「成功主義的教育観」が、研修を企画したり内容を作ったりする際の大きなパラダイムの違いである、とこれまで何回かこのコラムで紹介をさせていただきました。
(『研修とは?講師とは?その位置づけを考える』『研修のカリキュラムとレッスンプランの違いとは?』をご参照ください)
「受講生が何を体験するか」は学校のペーパーテストのように効果を数値化することが難しく、これが研修の効果測定を難しいものにしている一要因にもなっています。
体験を数値化するのは難しいのですが、研修を通して「受講生の体験」をある程度デザインするやり方として各種の研修ワークがあります。
今回は、その中でも代表的な「研修ゲーム」について解説をさせていただきます。

 

研修ゲームの目的とは

研修ゲームは、昔は物珍しさで行われていた節があります。
しかし、今では研修を構成する要素の一つとして一定のポジションを確立した感があります。
研修ゲームの目的は採用するゲームが何なのかはもちろん、テーマや文脈によっても変わる部分はありますが、大まかには下記の4つでかなり網羅できると思われます。

①体験と教訓抽出
②アイスブレイク
③チームビルディング
④場の活性化

 

①体験と教訓抽出

研修内で研修ゲームをやるからには、研修テーマと採用したゲームには関係があって、受講生の立場から納得できるものであることが望ましいです。
研修ゲームで体験できるものと言えば、「チームワーク」「コミュニケーション」「リーダーシップ体験」「創造性開発」「意思決定の疑似体験」「自分を知る(フィードバック)」といったものが挙げられます。
これらのテーマで研修ゲームを実施するのは、新入社員から中堅位までは納得を取りやすいと思われます。
しかし、管理職クラスは研修への評価のハードルが高い人も多いため、研修ゲームでは納得せず、使える場面がやや限定的になる恐れがあります。

 

②アイスブレイク

最近の研修はグループ討議も多く、場合によっては「問題解決や方針策定の会議に講師がファシリテーターとして派遣されている」と説明したほうが実態に近い状況の研修も少なくありません。
そうした状況で活発な意見交換がされるようになるには、話しやすい雰囲気づくりとしてアイスブレイクがかなり重要となります。
その際のネタとして研修ゲームは有効です。
しかし、こうした会議は話し合いがメインですので、研修ゲームは可能な限りコンパクトで効果があるものが望ましいでしょう。

 

③チームビルディング

新しいプロジェクトのキックオフ時や組織の立ち上げ時など「チームビルディング」の場面でも、アイスブレイクと「人となりを理解する」という観点で研修ゲームは有効です。
その際には、チーム内のメンバーの交流や方針の検討等の前段階で行うことをお勧めします。

 

④場の活性化

研修は生ものですので、途中で受講生が疲れてきたり、やや飽きてきた空気になってしまったりすることがあります。
そうした時に場の空気を活性化させ、一度リフレッシュして再度研修に集中していただくために、研修ゲームも一つの選択肢となります。
とはいえ場の活性化やリフレッシュが主眼ですので、ここで行う研修ゲームも長いものやテーマと関係ないものは避けてコンパクトなものが望ましいでしょう。
もっと言えば「リフレッシュ」を主目的とするのであれば、研修ゲームではなく「頭の体操」や「ストレッチ」でも良いかもしれません。

 

研修ゲーム実施のポイントとは

さて、このように上手に使えば研修ゲームは研修の中で「主菜ポジション」でも「味変ポジション」でも非常に効果的ですが、使用上の注意点が大きく二つあります。

1、上手な誘導をすること
研修ゲームでの体験から学び、教訓を抽出しようとするときには、受講生の「生の意見」を上手に引き出すことが重要です。
研修ゲームを意図的に研修内に織り込んでいる時には、企画時に意図を持ってやっているものです。
ですから、こちらの意図どおりに受講生に受けとめてもらうように誘導することが大切になります。
そこを押さえずに強引に進めると、研修の場が冷めてしまうので注意が必要です。

2、ネタバレに注意する
研修ゲームの総数は正確な数は分かりませんが、日本国内でも100以上の研修ゲームが開発され、実施されていると言われています。
日本よりもアメリカで研修ゲームは熱心に活用されてきた歴史があり、手品の種をマジシャンに販売するイベントがラスベガスで開催されるように研修ゲームも販売イベントがあると聞いたことがあります。
研修ゲームは手品と同じく「種を知っていたり、前に見たことがあったりすると感動が薄れる」ことに注意すべきポイントがあります。
研修ゲームだけの話ではないかもしれませんが、受講生がその研修ゲームを新鮮味を持って受け止めてくれるかどうかの検討は非常に重要と言えます。

 

以上、研修ゲームの使いどころと重要ポイントについて解説をさせていただきました。
研修ゲームは上手に使えれば効果的ですが「これをやれば間違いない」という万能薬ではありません。
しっかりとした処方箋に基づいて、用法要領を守って正しく使用することが重要となります。
「何か研修ゲームをやる研修プログラムや研修会社を探している」ということですと我々未来マネジメントではお手伝いするのはなかなか難しいですが、目的が明確で、今やっている研修に何らかのテコ入れや別の切り口を持ち込みたい、ということであればご相談に乗ることは可能です。
お気軽にご相談くださいませ。

 

このコラムを書いた人:

株式会社未来マネジメント 取締役 営業部長 日吉良介

研修会社、人材開発業界で15年以上にわたり営業、講師、コンテンツ開発に従事している。
研修企画者として「日本にはまだ数少ないプロのインストラクショナル・デザイナー」と呼ばれることを夢見て日々研修の企画に取り組んでいる。
自身の講師としての得意テーマは「営業研修」で、これまでに3,000人以上の営業職が研修を受講している。
趣味は読書、プラモデル制作、フットサル。

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