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9.マーケティング戦略立案における主要な考え方②

(2)フィリップ・コトラーの競争地位戦略

フィリップ・コトラーは市場における競合企業を分析する視点として「市場シェア」によって企業を4つに分類しました。

 

 

①マーケット・リーダー

マーケット・リーダーの目的は、シェアトップを維持することにあります。
すなわち、市場シェアの拡大や市場規模の拡大がマーケット・リーダーの主要な目標になります。このようなマーケット・リーダーの戦略は「全方位化」で、これはライバルを包み込んでいく戦略になります。
たとえば、ライバル企業がユニークな商品を市場に投入して差別化を図ってきた場合は、その模倣商品をすぐさま投入し、「同質化」を図っていくという戦略です。

トップ企業というのは経営資源も豊富ですから、経営資源にモノを言わせて、最新鋭のシステムを導入するなどしてコスト削減を図り、コストリーダーシップを確立する戦略も有効です。
コストリーダーシップにより、利益率が更に向上し、業界での地位をさらに安泰させる投資が行えるという好循環を実現することもできます。

 

②マーケット・チャレンジャー

チャレンジャーの目標はシェアを拡大してトップを奪取することにあります。
ただ、正面切ってリーダーに戦いを挑んでも、通常ではリーダーの方がヒト・モノ・カネという経営資源全てにおいて勝っているから、返り討ちに遭う可能性が高くなります。
そこで、リーダーが取り組んでいないことを始めてシェアを獲得していくことが、チャレンジャーに適した戦略になります。リーダーとの「差別化」を図るという訳です。

チャレンジャーは2番手グループですから、チャレンジャー以下の企業も多数存在します。ということは、上位企業に向かっていくよりは、自社よりも弱い企業を叩く方が顧客を獲得できる可能性が高くなります。自社よりも下位の企業を攻めて顧客を奪い取り、マーケットシェアの拡大を図るという戦略も重要になります。
チャレンジャーはこのようにリーダーが真似できない独自性のあるビジネスモデルを構築し、下位企業を攻めながらマーケットシェアの拡大を目指すことになります。

 

③マーケット・フォロワー

3番手以下のフォロワーは、シェアを維持することが目標になります。
事業で打撃を受けないためにも自社でリスクの伴う新しい試みは避け、上位企業がすでに成功した仕組みなどを取り入れて安全に低コスト化を図るなど無理をしない戦略が採用されます。
ですから、フォロワーの戦略のポイントは効率化ということができます。事業の効率化を図り、商品をできる限り低価格で提供し、マーケットシェアを低下させない取り組みが必要になります。

フォロワーは、リーダーやチャレンジャーに比べると経営資源が乏しいために、自社で率先して業界をリードする商品やサービスを投入するというよりは、上位企業の動向を見ながら直接の競争を避け、上位企業の成功事例を自社に取り込むことによって効率化を図り、マーケットでの存続を目指すことになります。

 

④マーケット・ニッチャー

ニッチャーは小さな市場で独占することを目指すことになります。
通常、ニッチャーは規模が小さく、圧倒的に経営資源が乏しい場合が多いから、特定の分野に集中して経営資源を投下し、技術力を向上させたり、よりコアな顧客にフォーカスして身近な存在となって信頼を獲得していくなど「集中化」が最適の戦略になります。この集中化を図って、特定の市場でNo.1を目指していきます。

 

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