HOME » 人財育成資料室 » 戦略的営業講座 » 7.目的を持った商談と成果
営業活動における商談の時間は多くはありません。業種によって差はありますが、一般的なソリューション提案型の営業であれば、業務活動のわずか20%強しかないというデータもあります。
従って、一回ごとの商談の質を上げ「各回の商談目的の成果」を着実に上げていくことは大変重要な課題と言えるでしょう。よく言われる「一商談一成果」「一訪問一成果」です。
まずは商談の種類と目的です。5つの商談があります。
商談の種類 | 商談の目的・狙い |
アプローチ商談 | 訪問目的を伝え、顧客のテストに合格し、パイプをつくる。 そして、再訪を可能にする。 |
リサーチ商談 | 訪問を重ね、顧客と親密感をつくり、顧客の個別事情や情報の収集で、ニーズを探る。 |
プロポーザル商談 (プレゼンテーション) |
顧客の個別事情に合わせた提案をし、本気にさせる。 |
クロージング商談 | 提案後に発生する障害を解決し、契約に持ち込む。 |
グッドウイル商談 | 顧客との友好パイプを太くし、顧客との間に相談関係をつくる。 ONE to ONEの関係で囲い込む。 |
上記の各々の商談目的を果たすためには3つのポイント(商談力強化の3つのポイント)があります。この3つのポイントがそのまま商談力強化のテーマになります。
①状況判断力
商談の目的達成のために、洞察、推理、観察を行い、判断をすること(自分の意見や主張を持つこと)。
状況判断をするには、顧客の(面談者の)関心ごとをつかみ、価値観を理解しておくこと(理解する努力をすること)が重要です。
また自社の競合情報、地域情報、一般環境に関する情報(政治情報や世の中の動向など)、自社内情報など、日頃から有用情報を幅広く収集しておく必要があります。
②知識・技術力
商品知識、関係法令、図面などを理解する能力、専門技術、商談トークなどを持ち合わせておく必要があります。
③意識・胆力
会社の代表者である意識、顧客の役に立とうとする意識(お役立ちの意識)責任感、自信、目的を達成する強い意識(胆力)などです。
5つの商談における「状況判断力」「知識・技術力」「意識・胆力」の具体的中身は以下のようになります。
状況判断力 | ・顧客に好印象を与えることはできたか ・顧客は心を開いてくれたか ・提案に対する顧客の問題意識は高いか、低いか ・訪問の継続価値はあるか |
知識・技術力 | ・可能な限り事前情報を入手する ・自分なりの磨き込んだ自社PR、自己PR、商品PRを工夫し印象づける ・3S(スタイル、スマイル、シンセリティ)と基本動作で差をつける ・会えない時は必ず訪問の証拠を残してくる |
意識・胆力 | ・お役立ちの気持ちは必ず顧客に通じる ・断られても元々の精神で ・自信を持つ(自社、自分、商品) ・しゃべり過ぎ、押しつけは失敗のもと |
状況判断力 | ・面談者の影響力はどうか ・お客様の状況は「絵」になったか ・個別の事情はつかめたか ・ランクアップできそうか(突破口は何か) |
知識・技術力 | ・情報を武器に一般論と受け取られないジャブ提案を準備する ・質問力を磨き、聞き上手になる ・反論、反撃は控えめに ・本音を聞き出す質問を工夫する |
意識・胆力 | ・反対は「ワインのコルク」 ・顧客に対する関心を深めて「もっと知る」 ・「まだ先」は「もうすぐ」と同じ ・お役立ちのために遠慮せず聞く |
状況判断力 | ・このコア提案で相手はどう出るか ・理解・納得をさらに深めるために何を活用したらよいか ・相手の反応(質問・要求・批判・賞賛)の真意は何か ・競合への当て馬に使われていないか |
知識・技術力 | ・効用分析力を磨く(FABE) ・セールス・ポイントの訴え方を工夫する ①長さを目指すな 力強さを目指せ ②断言、反復、伝染を心がける ・相談で共同関係をつくり出す |
意識・胆力 | ・波風を恐れず本気で勧める ・提案には自信を持つ ・情熱で相手のハートを揺さぶれ ・「ノー」とハッキリ言うことが信頼獲得への道である |
状況判断力 | ・これは本当に買い気信号なのか ・決断の心理的障害、物理的障害は何か ・取引条件の理解は得られたか (後でトラブルになることはないか) ・このままで面談者は本気で動いてくれるのか |
知識・技術力 | ・今までの折衝過程の振り返りを実施 ・今後の実践シナリオを明確にする ・「検討しましょう」の処理を的確に行う ・条件は自ら引くと効果なし |
意識・胆力 | ・決めずんば帰らず(自ら持ち越しにするな) ・沈黙と過剰要求に負けるな ・締結なくして、お役立ちなし ・「取引条件」や「お願い事項」で弱気の虫を起こさない |
状況判断力 | ・訪問相手が偏り、知らずに敵をつくっていないか ・上司の表敬のタイミングは ・お客様の感情を逆なでするような言動はとっていないか ・ライバルはどのような動きをしているか |
知識・技術力 | ・上手な世間話で情の交流を図る ・お客様に関心を持ち、良い点は遠慮せずにほめる ・傾聴の3原則(相槌、うなづき、驚き)を活用する ・幅広く話題を蓄積する |
意識・胆力 | ・業績と見込み可能客の数は正比例 ・プライドを満たすもお役立ち ・誠意が苦情を未然に防ぐ ・「あいまいな返答」と「ウソ」は最大の敵と心得よ |
「状況判断力」については、最初は読み違えてしまうことが多々あります。特に経験が浅い営業パーソンが読み違えてしまうのは、ある意味仕方のないことです。しかし、判断して後で検証していく癖をつければ、徐々にその精度は高まっていきます。
一商談一成果を念頭に置き、必要な準備をして商談に臨んでいかなければ、上記に示した成果を出すことが難しくなります。事前準備と商談後の検証は決して欠かしてはなりません。