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デザイン思考は、こと人材育成や研修の文脈ではIDEO社のCEOティム・ブラウンらが提唱したビジネススキル、思考法のこと。
デザイナーがデザインを行う際の思考法をビジネスに転用することを通して、革新的なプロダクトやサービス、業績を生み出すことを目標としている。
その起源は、ノーベル経済学賞ハーバート・アレクサンダー・サイモンの1969年の著書『システムの科学(The Sciences of the Artificial)』にあるという。
デザインは欧米の学問体系の上で分野の整理がしにくかったのだが、ハーバート・サイモンがデザインを科学における思考法として論じたことから体系化できるものとして扱われるようになった。
その後、ピーター・ロウの著書『デザインの思考過程(Design Thinking)』の中で初めてデザイン思考という言葉が使用された。
※デザイン思考は英語で言うとDesign Thinkingなので、ピーター・ロウの著書はそのままタイトルがデザイン思考である
こういった背景の中で、ロバート・マッキムやロルフ・ファステといった学者による多くの研究と他分野の研究成果との統合が行われ、ティム・ブラウンによりビジネスで活用するものとして体系化された。
デザイン思考のプロセスは「観察/共感」「問題定義」「アイデア創出」「プロトタイピング」「検証」といったものが有名である。
また、コンセプトとしては特に「ラピッドプロトタイピング(=プロトタイプを早く作って早く検証および改善のプロセスに持っていく)」といったもの、デザイン思考の規則としてクリストフ・マイネルとラリー・ライファーが「人間性の規則」「曖昧性の規則」「再デザインの規則」「触感性の規則」といった形で定義したものが知られている。
デザイン思考の背景には重厚長大な学問の世界が広がっているため、ビジネスの世界では「常にユーザー視点」「コミュニケーション重視」「まずは作ってみる」「1つのアイデアに縛られない」というようにカジュアルで使いやすい形に翻訳されたものがよく活用されているようだ。
現在では、デザイン思考は人文学、科学といった既存の体系の中に位置づけるというよりも一つの分野として独立している、という見方が強くなってきている。
ティム・ブラウンによると、デザイン思考は多くの企業に広く知られるようになったが、スキルとしての活用レベルは部門限定的や散発的な活用に限られている。
もしも企業が持続的な成長を続けるのであればより全社的、継続的にデザイン思考の活用と浸透に取り組むことが重要だという。