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【ケーススタディ】

日本語に直すと事例研究のこと。国内外、社内外の様々な事例の分析、研究、検討を通して学習の機会を持つことである。
企業教育の他にも法曹界、医療業界等幅広い分野で活用されている手法である。
企業教育では現場で起こっていることすべての事象を網羅することは到底できないので、一例または複数の事例の研究を通して、
推論や傾向把握、対策や判断基準の有効性が成り立つかどうかを推敲し、疑似体験または意見の共有を行う運営が多い。
ケーススタディは与えられた状況設定を自分の状況や持っている物差し、判断基準に当てはめて考え、討議を通してその再確認とブラッシュアップを行うことに意義がある。
そういった意味では知識付与の講義とは違うため、ケーススタディを行って効果があるのはある程度の経験年数を経て自分の業務やビジネス環境に対して自律的、内省的に考えることができる受講対象者に有効な手法といえる。

ケーススタディの成否を分ける重要ポイントとなるのが「ケースの設計」と「講師によるファシリテーション」である。
あまり情報が細かすぎたり、情報過多だと「ケースを読むだけで時間がかかる」「いつもの延長線上の判断をオートメーションで行う」といった状況となってしまい、研修としては効果が薄くなってしまう。
また、逆に情報がざっくばらんすぎたり、あまりに現実離れしていても受講生にとっては不親切なものとなり研修のワークとして成立させるのが難しくなる。
ケースの設計者は「受講生に何を学んでほしいのか」「どういう判断基準や考えを適応してほしいのか」という「ケースの目的」と
「受講生の理解レベルへの分析」「よく起こる状況」「着地への受講生の納得度」を見あいながら、上手にケースに落とし込んで「設計」をする必要がある。
また、受講生の納得度を高めるためには客観的に見てリアリティのあるクロノロジー/時系列整理にも配慮しなければならない。
以上のような要素から、ケースを作るのはなかなか難しいので、ケーススタディ作成経験のある人でも十分な時間をかけて推敲しながら開発することが望ましい。
運営時には、ファシリテーターはケースに沿って討議を進めつつ、講師は受講生の理解状況、発言状況を読んで発言が少ない人には上手に水を向けたり、
状況によっては今出ている意見が満場一致とならないように別の観点を示唆したりする動きが求められる。

このように、ケーススタディは奥が深く活用の難易度は高い。
しかし、コンプライアンス教育、安全教育、クレーム対応または予防教育、リスクマネジメント、リーダーシップ研究など活用の範囲は幅広く、また組織にとって重要な考え方や判断基準の共有、「目合わせ」ができるといった非常に大きなメリットがある。
ロールプレイングと並んで「(人が実際に集まる)研修ならではの効果の高い技法」といえる。

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