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Quiet Quittingは、2022年にアメリカのキャリアコーチであるブライアン・クリーリー氏が2022年にTikTokで発信したことでアメリカを中心に注目を集めるようになった言葉で、日本語では「静かな退職」と訳される。
退職と言っても会社を本当に辞めてしまうのではなく、必要最低限の努力で職務上決められた仕事だけを淡々とこなし、業務時間外のメール確認や、サービス残業等といった業務を徹底して「行わない」「避ける」ことを指す。
ブライアン・クリーリー氏は、2023年にQuiet Quittingは深刻化すると発言している。
法律上の退職ではないが、職場の生産性や周囲のパフォーマンスに影響を与える点が普通の退職と変わらないことから、新しい退職の形として考える向きもあるようだ。
経営者視点に立てば、Quiet Quittingは「個々人のパフォーマンスの悪化、生産性の悪化」「周囲への悪影響とその伝播」「不公平感の蔓延」「組織風土への悪影響」といったリスクを抱えているため、当然避けたいものである。
しかし、こうした状況はこれまでの「働き方改革」や「ワークライフバランス」が浸透した結果とも分析できるため、どう対処したらいいのか分かりにくくなっていて難問化しているのが現状のようだ。
Quiet Quittingの原因としては一般的には下記のようなものが挙げられる。
・ワークライフバランス、働き方改革の浸透
・親ガチャ、上司ガチャなどの他責志向に繋がる考え方が広がってきたこと
・コロナ禍で働き方を見直す人が多く存在したこと
・「頑張るのは当たり前」という考え方が「頑張っても評価されないことがあるなら努力なんてしたくない」という形に変質してきたこと
アメリカでは先述の「大退職時代」の影響もあって、人的資源のマネジメントは非常に優先度が高い課題になっている。
Quiet Quittingも注目のキーワードとなっているようだ。
日本は「ウェルビーイング」の項目でも触れた通り、「熱意のある社員の割合調査」の結果、熱意のある社員が割合として少ない国、とされている。
日本の場合は単純に前からQuiet Quittingしている人が多かっただけなのか、それともこれからさらに大きな波が押し寄せてきて職場にモチベーションクライシスやモラールクライシスのような状況が起こってしまうのか、状況を冷静に見極めたいキーワードである。