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NLPはNeuro-Linguistic Programmingの略語で、神経言語プログラミングと訳されるコミュニケーション手法のことである。
言語学者のジョン・グリンダーとセラピストのリチャード・バンドラーが共同開発した。
NLP関連の書籍では「最新の心理学理論/脳科学理論」のような説明をしているものも見かけるが、基礎理論は1976年前後に出来上がったもので、その後心理学の発展の成果をつまみ食い的に統合して今の体系になっているようで、その歴史は結構古い。
コーチングの背景理論ともされていて、ミルトン・エリクソンの催眠療法、感受性訓練、自己啓発セミナーとも一部同じルーツを持っている。
NLPでは「五感と神経が脳のプログラムを作る、または作用させる」と説明する。
そのため、相手の五感を通して効果的に働きかけることで相手の感情や行動をコントロールできるため、強力なコミュニケーション手法であるとしている。
NLPで有名な知識/技術体系には下記のようなものがある。
アイアクセンシング・キュー=眼球の動きで相手の考えを見抜くことができる、という手法
VAK理論=人間の脳を刺激する情報は視覚、聴覚、体感覚があり、それぞれ人によって優位となる感覚が異なるとする考え方
ニューロロジカルレベル=信念や行動と意識の関連性を説明した概念
NLPについては、説明を聞いていて面白いものや説得力のある手法や概念も多い。
その一方で下記のような批判が存在する。
・科学的とは言えない理論も多く存在していて、専門家から「疑似科学」と評されることも少なくない
・セミナーの主催団体は自己啓発セミナーを行っていた団体の系譜に連なるものが少なくない。また、受講料も決して安くない
NLPの技術/知識体系に「信念の持ちようによって能力は発揮できる」という文脈が顔を出すことが多い。
この考え方は科学的なアプローチではなく思想や宗教の領分であり、典型的なアメリカ式自己啓発や成功哲学の考え方に広く共通する考え方である。
「自己啓発」「成功哲学」の多くは「ビジネスの成功」と「プライベートの成功」を整理していない上に最終的には道徳や信念の問題に回帰しているが、NLPは更に「スキル」と「知識」と「思想/宗教」とも整理していない、色々なものの「闇鍋」「ごった煮」のようなものになっている。
もしかしたらNLPの持つ本当の魅力はそういうダイナミックで怪しげな闇鍋状態にあるのかもしれない。