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勘、経験、度胸の略語。
元は職人技を継承する場面でよく言われていたが、現在は職人の領域にとどまらずビジネスの世界で広く使われている。
個人が何かの仕事や技術に熟達するにあたっては「勘、経験、度胸」は否定するべきではない要素だが、こと組織での「人材育成」「コミュニケーション、情報の共有」「判断の説明」といった場面では良くない意味合いで使われることも多い。
例えば個人経営の飲食店では「勘と経験」で料理を作っても品質が高ければそれほど問題はないが、例えば牛丼チェーン店のようなお店で「勘と経験」をベースにしてしまうと多くの問題が発生する。
メンバー間、ひいては店舗間の考え方の差、経験値の差で商品やサービスに著しい差が存在してしまい、それが結果としてお店としてのブランドを棄損してしまう。
そうした「KKD頼み」の状況から脱却し、「安定的に」「標準化」した商品、サービスを提供するために各種のマニュアルや判断基準といったものが存在する。
飲食店以外でもKKDベースの指示命令や考え方では「時代背景が違う」「ビジネス環境が違う」など「今はもう通用しない」という否定的な色彩が強くなりがちで、こういったものに頼り切った考え方は事がスムーズにいかなかったり、問題が発生したりすることが多い。
KKDを「個性の成果物」と読み替えると、実は人材育成や教育の世界では「個性」ベースの教育を行うのか「標準化」「均質化」をベースにした教育を行うのかという論点の議論はずっとされていていまだに答えは出ていない。
武術の世界では個性を活かすことを重要視して「一子相伝(師匠一人に対して弟子も一人で1on1で教えるスタイル)」または「少人数」のほうが弟子や門弟の習熟レベルが高いと言われているという。
アメリカハーバード大学の心理学者トッド・ローズ教授は個性をベースにした教育の在り方とそれを実現する社会の在り方を論文を発表して大きな反響を呼んだ。
もしかしたら何年後かには「個性重視」の教育が実現して結果「KKD」が名誉を挽回する日が来るかもしれない。
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