HOME » 人財育成資料室 » 人材育成キーワード » 【配属ガチャ】
「配属ガチャ」は、希望する勤務地や職種に就くことができるかどうかは「カプセルトイのガチャガチャ」や「ネットゲームのガチャ」のように運次第になっている、という状況を表す言葉。
どちらかというと学生や新入社員を中心に使われるネットスラング的な語意を持ち、自分の運命が運で決まってしまうということに対しての皮肉のニュアンスが込められている、という意見もある。
他にも配属先の上司に恵まれるかどうかを「上司ガチャ」、部下の配属については「部下ガチャ」という言葉がある。
親に恵まれるかどうかについての「親ガチャ」という言葉も存在するが、どの用法が最初に使われたのか、いつから使われるようになったのかはそれぞれがネットスラングであるためはっきりしていない。
配属ガチャの背景には、日本の採用事情が長いこと「メンバーシップ採用型」であったことの影響が強く存在する。
「メンバーシップ採用」は、入社前にスキルを身につけているわけではない学生を「会社」という組織に迎え入れるのが前提の考え方のため、ジョブ型採用と違って「会社で必要となるスキルは入社後に会社側が用意する」「キャリアの選択権も基本は会社側にある」のが基本である。
従って入社した人がどういう部署に配属になろうが働く人は基本、文句を言えない状況だった。
また、ジョブ・ローテーションも多く行われていて、企業は「専門家を育てる」ことよりも「総合型人材を育てる」ことを重視していたと考えられている。
欧米型の働き方の浸透とともに「ジョブ型採用」の考え方が拡大するに従って、配属に対する不満が目に見える形で表面化するようになったのが現在の配属ガチャをめぐる状況であると思われる。
現在、個々人のエンゲージメント強化と離職対策のために、大手を中心にジョブ型採用の推進と、入社式前の配属先告知をする動きが少しずつ広まってきている。
とはいえジョブ型採用はまだまだ浸透するのに時間がかかるものと思われる。
前提となる日本の学校の職業に関する教育が変わったわけではなく、ジョブ型採用を構成する重要なパーツが揃ったとはいえない状況にあることが大きな要因である。
配属ガチャは前からネット上ではよく使われていた言葉だったが、2024年5月頃に新入社員の退職が増加して退職代行サービスの活用状況のニュース等が報道される中で、退職が増えている要因の一つとして紹介された。
企業と個々人の関係性の変化を示す重要なキーワードであり、今後どんな形で個々人の納得性を高める施策が行われるのか注目されている。