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「管理職になりたくない症候群」とは、最近、社員(主に若手)が自分自身のキャリアを考える上で「管理職になりたくない」と考えている人が多く存在することを説明した言葉。
明確な定義がある訳ではないが、2017年前後から言われるようになり、対象者によってもばらつきはあるものの、多くのアンケート調査が実施されて似たような傾向値が出ている。
アンケート調査を行うとだいたい8割前後の人が「管理職になりたくない」と答えているという。
他にも「出世したくない症候群」という言葉も存在する。
管理職になりたくない理由としては、アンケートの内容や回答項目の提示の仕方にもよるが「責任が重くなる」「業務の負担や残業が増える」「プレイヤーでいたい」といった回答が多いという。
更に「管理職を打診されたらどうするか?」という質問に対しては「断るつもり」という人が6割くらい、という回答が出たアンケートもあるようだ。
ちなみにこういった状況に対して、立教大学の経営学部教授中原淳氏は「この問題は20年以上前から存在する」と指摘した上で、「企業側が管理職にしたい人がなってくれないなら問題だが、管理職にならないかもしれない人にまで質問することに意味があるのだろうか?」という疑問を呈している。
また、今管理職になっていない人に対してアンケートを取っているが、中原教授が過去に行った調査では「半数を超える人が管理職になって良かった」と答えていると解説した上で、問題の本質は自分自身のキャリアを考えていない人が多いことにある、と指摘している。
組織がフラット化している現代の企業では、管理職になるか、よほどの特殊なスキル等で「余人をもって代えがたい」人材にならない限り大幅な昇給は見込めない状況が多々存在する。
今後は少子高齢化の影響で若手社員は希少資源化する可能性があり、そうなった時には「管理職になってほしい人に打診したけど芳しい返事がもらえなかった」という状況は大いにありうる。
そのためには企業側も管理職になることのメリット、魅力をきちんと作る必要が出てくる。
転職が当たり前になり、若者が少なくなっていくことが分かった上で個人のキャリアに柔軟性が出てきた現代ならではの問題と言えるだろう。
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