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氷河期世代は、1991年以降のバブル崩壊後の不景気以降に企業が新卒の採用を絞り、就職難になった時期に就職活動をしていた世代のことを指す。
具体的には1970年生まれから1983年生まれまでが就職氷河期にあてはまるとされることが多く、生年で整理すると団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)とポスト団塊ジュニア世代(1975年~1981年生まれ)は概ね就職氷河期世代と一致する。
世代名称としては「ロストジェネレーション」や「失われた20年世代(経済環境と照らし合わせて『30年世代』という意見もある)」とも呼ばれる。
この世代は就職難の結果、人材派遣やフリーアルバイター等の非正規雇用で仕事をしている人数や就業していない人数も多い。
また、なかなかスキルアップの機会に恵まれず、管理職の登用人数も少ないため収入面でも他の世代よりも低くなる傾向がみられる。
結果、他の世代よりも労働意欲が弱い世代という分析も存在する。
収入面の影響があるのかどうかは意見が分かれるところだが、この世代は非婚率が高く少子高齢化に大きな影響を及ぼしているという意見も多い。
政府としても公務員を氷河期世代から特別枠を設けて採用する等色々な対策を講じているが、どうしても世代の非正規雇用や非就業人数に対して枠が少なく、大きな成果を挙げているとはいいがたい状況にある。
その一方で、企業の採用事情の観点から見ると大企業が採用を控えていた結果、非正規雇用の就業形態や中小企業で人材を獲得する機会になっていたという意見もある。
企業の人材開発への影響としては下記のような内容が指摘されている。
・氷河期世代は採用人数が少ないため企業内の人口ピラミッドが歪になっている
・結果、企業内の文化や人脈、スキルの継承が断絶してしまったという企業も多い
・この世代の人数が少ないため管理職の若年化、管理職候補者不足にも影響が出ている。また、人手不足で過酷な職場が増えてブラック企業という言葉が出てくる遠因にもなった
ここ10年くらいの間、企業研修では教える側の研修、OJTトレーナーの研修が人気のあるテーマになっているが、その背景には氷河期世代前後を取り巻く「教える文化の断絶」や「教え方の断絶」「世代間関係の変化」が大きな影響を与えている可能性が高い。
現在、終身雇用制が崩壊して転職が当たり前になったと言われているが、氷河期世代は不安定な就業状況にいた人が少なくないため、環境を変えることや転職自体にネガティブな考えを持っている人も少なくない。
また、ある程度の年齢のベテランにはマネジメント側の立場での採用を検討する企業が多いが、氷河期世代はマネジメント経験をしてきた人の人数も少ないためそこが転職のネックになっている状況も存在するようだ。
人材活用の観点でも、人材開発の観点でも氷河期世代をどう活用するかは企業にとって重要なテーマであると考えられる。
今後、この世代についてどのようなテーマや施策が出てくるのか、非常に注目を集めている。
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