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【人材の見える化】

「人材の見える化」は、主にタレントマネジメントの効用として謳われる言葉である。
タレントマネジメント導入のねらいは、戦略的人事施策の実施や効果的な人材育成、サクセッション・プラン(戦略上重要なポストの継続を計画的に進めること)のために有用なデータを管理することにある。
人事システムやデータベースが「考課の結果」「労務/勤怠データ」「給与計算」等に重きを置いて主に労務管理に使用されるのに対して、タレントマネジメントは「スキルや保有資格」「職歴の管理」に重きを置いている。
その結果、「社内にどういうスキルや経歴を持っている人材がいるのか」「今後、管理職に登用する候補者にはどんな人がいるのか」「こういうスキルを持っている人は何人いて誰なのか」といった観点で社内の人的リソースを有効活用する際にその情報をしっかりと管理して分かるようにする、というのが「人材の見える化」の肝である。
ちなみに「見える化」はトヨタの改善活動で使用されたのが最初と言われている。

タレントマネジメントが重要視されるようになった発端は、マッキンゼーが提唱した「War for talent」という概念である。
「これからの企業は優秀な人材の獲得と育成が競争力の源泉としてより重要となる」として、これからはグローバルレベルでし烈な人材獲得競争が始まると予測した。
そんな中で「人材の見える化」がなぜそれほど重要視されるようになったかというと、下記のような要素があると思われる。

①終身雇用制の崩壊の結果、キャリアについて主導権が会社側から労働者側に移った
②ダイバーシティ推進の結果、キャリア開発や能力開発が単線から複線になった
③社内に中途社員が増えて「社内の人材開発の純粋培養でない人」「この会社内では経験できない経験をしている人」が増えた
⇒上記の複合的な影響の結果、会社側の意図的な人材開発と経年による登用だけでは人材配置がうまくいかない、という考え方が強くなって注目されるようになっていったものと思われる。

マッキンゼーは世界中に支社を持っていて、日本が終身雇用制全盛の中でも優秀な社員とアップオアアウトの文化(極論すると「新自由主義」「グローバリズム」の普及でもある)で経営をしていて、力を持っている社員は出身国に関係なく抜擢していた。
そう考えると、マッキンゼーは世界規模でタレントマネジメントに取り組んだ最初期の会社であり、「War for talent」は今後のビジネス環境の予言ではなくそれまでマッキンゼーがポリシーとしていた思想を宣伝しているものと捉えることもできる。
企業経営において人材獲得競争とタレントマネジメントは基本OSとして常識となるのか、それとも別の極の考え方が登場するのか、注目のキーワードと言えるだろう。

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