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【ロバート・ミルズ・ガニエ(人名)】

ロバート・ミルズ・ガニエはアメリカの教育心理学者で、インストラクショナルデザインの学問体系の確立に大きな功績を残した。
しばしば「授業設計理論の父」「構成主義的学習理論の開発者」と呼ばれる。

1916年にマサチューセッツ州に生まれる。
イエール大学、ブラウン大学で学んだ。
ちなみに卒業論文は「オペラント条件付け」についてのものだったという。
第二次世界大戦中に陸軍パイロットの養成課程の確立に従事する。
1945年からペンシルバニア州大学で教職となる。
その後ブリンストン大学、カリフォルニア大学を経て1969年フロリダ州立大学教授、1970年にはアメリカ教育研究学会会長の地位に就く。
この間もアメリカ空軍のパイロット訓練のために知覚と認知、行動の研究を行っている。
代表作は1965年に発表した「学習の条件」である。
2002年に86歳で死去。

ガニエの教授理論は「構成主義的学習理論」と呼ばれる、それまでの伝統的な学習観とは異なる学習のモデルを提唱した。
ガニエは、知識やスキルは人と外部環境の相互作用で「かたまり(心理学用語でスキーマと呼ばれる)」として構築されて身についていくもの、と考えていた。
その外部環境をどのようにすれば学習効果が高まるのか、というのがガニエの研究テーマだった。
ガニエの功績としては、身につけるべきスキルの種類を整理した「5つの学習分類」と呼ばれるものと、学習プロセスを整理したものとして「9教授事象」と呼ばれるものが有名である。

5つの学習分類と呼ばれるものは下記の5つである。

1、運動能力
2、言語能力
3、知的スキル
4、認知スキルと戦略
5、態度

5つの学習分類に関するガニエの知見は「教える内容によって教え方や評価は異なる」というものである。
一見当たり前のように聞こえるが、「教え方」という抽象的なテーマで「知的スキル」や「認知スキル/戦略」「態度」といった分類が難しいものにまで切り込んで研究している点に注意が必要である。

また、学習プロセスと「するべきこと」について整理した「9教授事象」については下記のとおりである。

導入
(1) 学習者の注意を喚起する
(2) 学習者に目標を知らせる
(3) 前提条件を思い出させる

情報提示
(4) 新しい事項を提示する
(5) 学習の指針を与える

学習活動
(6) 練習の機会を作る
(7) フィードバックを与える

まとめ
(8) 学習の成果を評価する
(9) 保持と転移を高める

9教授事象はレッスンプランの構築の際に参考となるだけでなく、授業の改善の観点でもチェックリストとして機能する。
もしも研修のテーマ対象のレベルを「仕事のやり方」レベルと「自分自身のあり方」レベルで区別するのであれば、ガニエ教授の功績は「やり方」の習熟について信頼性が高いモデルを構築したことにある。
そのため、今後学校で職業教育を推進していく際にもガニエ教授の理論は大いに活用されることが期待されている。

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