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リスキリングはRe-skillingの字をあてられる概念で、経済産業省では「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義している。
特にベテラン社員のDX対応スキルを重要視する傾向が強いが、必ずしもベテランDX人材育成=リスキリングとは限らないことに注意が必要である。
欧米では日本よりも先に議論がされていて、2018年のダボス会議で「リスキリング革命」が取り上げられた。
2022年10月現在、岸田首相が総合政策の中にリスキリングへの総合支援策を盛り込んだこともあって日本でも注目されるようになっている。
似たような概念に「アンラーニング」や「リカレント教育」があるが、その違いは下記のように整理されている。
アンラーニングは職場内や組織内のこと、仕事に対するマインド的な意味を含む。リカレント教育は個人の学びのこと、リスキリングは人口問題や高齢化、国内の生産性などの社会問題を背景に持っていて、政府としても推しているものである。
そうした「語られる」角度からもそれぞれニュアンスは微妙に異なる。
とはいえ、その背景にあるのは「人生100年時代の到来」「時代の大きな変化への適応」であることは共通であり、範囲の大きさややり方の違いで言葉を使い分けていると理解したほうが分かりやすいように思われる。
また、3つの言葉に共通する課題は「これまでの経験で得たものとプライドが邪魔をする」ことである。
リスキリング支援では下記のようなプロセスを想定している。
①現状評価
②マインドセットづくり
③デジタルリテラシーの向上
④キャリアプランニング
⑤情報収集の仕組みづくり
⑥学習開始
⑦デジタルツールの活用
⑧アウトプットに挑戦
⑨学習履歴とスキル証明
⑩新しいキャリア、仕事の選択
(日本能率協会マネジメントセンター、後藤宗明『リスキリング』より引用)
人間は年齢と経験をもって成熟する生き物である。
成熟とは本来、年を経て力を付け、人生の経験を積むことでより柔軟性を獲得している(=本来獲得してきたスキル、できることにプラスして新しいことができるようになる)のが望ましい姿であるが、このことは現代の「成熟」の一般的なイメージとは逆のように感じられる。
今成熟するという言葉の持っている語義には「一定の領域内で頑固になる、執着して形が決まって固くなる」→挑戦しなくなる→できることや言っていることが旧くなるというイメージが強い。
日本という国も、そこにいる人たちも今後は良い形で「成熟」していくことが重要となる。
この「成熟」をどう捉えるかが「リスキリング」「アンラーニング」「リカレント教育」に通底する課題なのではないだろうか。