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メーガーの3つの質問とは、アメリカの教育工学者/心理学者ロバート・メーガーが提唱したとされているインストラクショナル・デザインの設計方針を決めるツール、または研修品質の自己チェックツールである。
日本ではインストラクショナル・デザイン研究の第一人者である鈴木克明教授の著書で紹介され、広く知られるようになった。
メーガーの第三の質問とは下記の3つである。
第一の質問:Where am I going? (学習目標:どこへ行くのか?)
第二の質問:How do I know when I get there?(評価方法:たどり着いたかどうかをどうやって知るのか?)
第三の質問:How do I get there?(教授方法:どうやってそこへ行くのか?)
メーガーの3つの質問は「『合目的』的研修設計」を行うために重要な視点を提示したことが高く評価されている。
インストラクショナル・デザインの知見が豊富に蓄積している今でも、人にモノを教える際のやり方や考え方は抽象度が高く標準化しにくい。
また、インストラクショナル・デザイン自体が非常に専門的でなかなか一般的に広がらないという課題も持っている。
当時、ロバート・メーガーの登場はインストラクショナル・デザインの黎明期にその基盤になる考え方と、シンプルで使いやすくかつ科学的な視点を持ち込んだ点で大きな意義があった。
その後のインストラクショナル・デザインの発展に大きな影響をもたらした研究者として評価されている。
研修の品質を左右する要素はテーマ、実施内容、企画の内容、講師、難易度、受講生の理解レベルや組織文化など、細かく分類すると複雑かつ多様な要素が絡んでいる。
こうした細かい要素で整合性が取れているかどうか、適切であるかどうかを確認する際にメーガーの3つの質問は非常にシンプルで使いやすいツールである。
また、研修を企画する際によく陥りがちなのが「手段」と「目的」「目標」の混同である。
この点において、メーガーの質問は第一の質問を通して「目的」「目標」「方向性」を押さえた上で手段の設計を行う、という「ゴールからの逆算の視点」に立っていることは重要な指摘と言えるだろう。
このようにメーガーの3つの質問は研修企画に従事する人にとって非常に頼れるツールであるが、第二の質問にあたる「研修の評価方法」については以前「カークパトリックモデル」の項目でも解説したように、非常に難しい問題を抱えている。
これまでも、これからも、「評価方法をどう確立していくか」についてはインストラクショナル・デザインが学問/技術体系として抱えている課題である。