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マイクロマネジメントとは、部下や後輩に対しての指導が細かくなってしまう現象のことで、日本語では「過干渉」に近いニュアンスの言葉である。
経験の浅い部下や後輩に対して細かな指導を行う、という意味ではマイクロマネジメントをすべて否定することはできない。
しかし、マイクロマネジメントはトップダウン型で下からの意見が出にくい組織風土をつくり出してしまう要素を持っている。
マイクロマネジメントの結果、部下や後輩から自主性や新しいアイデア、意見や仕事のやり方が出てくる余地を奪ってしまう他、部下の意欲の低下や、上司への依存的な状況を生み出してしまうことも多いため、好まれざる状況として説明されている。
以前このコラムで紹介した「エンパワーメント(=仕事や判断の権限を委譲していく)」の対義語として位置づけることができる。
部下に任せることができず、自分自身が首を突っ込んで過干渉状況を生み出してしまう上司の性格として、下記のようなものが挙げられている。
・自己顕示欲、極端な支配欲、統制欲が強い(自分は仕事ができる、自分は組織に対して影響力がある、この組織は自分のものだ、ということを誇示したい)
・部下や後輩への信頼感、尊敬の欠如
・自分自身の劣等感、自尊心の欠如
・部下の失敗に対して自分自身が責任を取りたくない、という意識
このように整理すると、親が子に対して行う過干渉とも重複する要素があるところが面白い。
以前紹介したSFAのような管理ツールは、使い方を間違えてしまうとマイクロマネジメントになってしまう危険性を指摘されている。
また、部下や後輩に対して過干渉状況を避け、適切なコミュニケーションを取るために参考になる考え方として、シチュエーショナル・リーダーシップ(SL)理論が一つの指針となるので参考にしていただきたい。
よく経営を語る言葉として、「経営者の能力以上に会社が大きくなることはない」という言葉がある。
上記のような環境を含めて考えると、「経営者は、自分よりも能力的に優秀な側面も持っている部下をうまく使いこなさなければ会社を大きくすることができない」ということを含意していると思われる。
今後、マネジメントの新しいやり方としてどのようなものが出てくるのか、その時にマイクロマネジメントという言葉はどう評価されるのか、今後も注目のキーワードである。
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