HOME » 人財育成資料室 » 人材育成キーワード » 【ペルソナ法】
ペルソナ法は、架空の典型的なキャラクターを設定してその人をターゲットにしてサービスやコンテンツ、広告を構築する手法のこと。
そもそもペルソナとは「仮面」を意味するラテン語で、心理学者のカール・グスタフ・ユングが提唱した「人間が社会生活において、求められた役割を演じる機能やその一面を指す」概念である。
ギリシアの古典劇で役者が使用する仮面に由来する言葉であり、ユングは人間の外的側面について、社会適応のために場面や関係性によって役割や性格、立ち居振る舞いが変わる(仮面をつけ変える)ことと、また表には出てこない内面に潜んでいるものがあると説明している。
「個人」「個性」を意味するPersonalの語源である。
マーケティングや商品開発での活用が有名だが、インストラクショナルデザインの文脈でも活用される。
今回はインストラクショナルデザインでの活用について解説する。
インストラクショナルデザインでペルソナ法を活用する場合は教材開発、特にeラーニングシステムのユーザーを想定する時や、研修のコンテンツの内容や難易度の検討時に使用される。
ペルソナ法はマーケティングでの活用にしても教材開発にしても、複数のペルソナを設定してその中で優先順位をつける場合が多い。
商品開発や教材開発の世界では内容が複雑な場合、カバー範囲が多岐に渡る場合、どう進めたら良いのか、誰に合わせたら良いのかについて迷うことが非常に多い。
その際には「優先順位の高い」ペルソナにとっての是非で判断することになる。
例えば外部研修会社は新入社員研修の企画時には「どういう会社なのか(=どういう会社を志望する受講生なのか)」「どういう部署に配属される予定の人が多いのか」「受講生の学歴はどうか」「昨年までの採用傾向はどうか」「ステータスは均一なのかバラつきがあるのか」「文化系的な風土なのか、体育会的な風土なのか」といった観点で受講生分析を行い、シミュレーションする。
当然、人の個性は一人ひとり違うのでこのシミュレーションが完全にあてはまるケースはまずないのだが、こうした作業を通して受講生の最大公約数を掴んでおくことが(ピレネーの地図として)非常に重要なのである。
ペルソナ法はビジネスの世界で活用範囲が広い手法だが、人材開発、教材開発、インストラクショナルデザインの世界では「成果主義(=受講生が受け止めて、使いこなしてこその学び)」的な考え方の手法として位置づけることができる。
今後も人材開発の世界での発展的な活用が期待される手法である。