HOME » 人財育成資料室 » 人材育成キーワード » 【ヘンリー・ローレンス・ガント(人名)】
アメリカの機械工学者、経営コンサルタント。
ガントチャートを考案し、大規模工事やプロジェクトの進捗管理に大きな影響を与えた。
フレデリック・テイラーの門弟であり、初期の科学的管理学派を代表する一人である。
1861年メリーランド州に生まれる。
ジョンズ・ホプキンス大学に進学し、機械工学を学ぶ傍ら教師や製図工の業務に就いた。
その後、テイラーの科学的管理技法のチームに参加し、経営コンサルタントとなる。
特にその名を冠した「ガントチャート」はフーバーダムなどのアメリカの大規模公共工事のスケジュール管理を支える大きな原動力となった。
ガントチャートは縦に「WBS=Work Breakdown Structure」を書いて担当者、開始日、納期、担当者、作業間の連携や注意事項を書き込む。
その後、横軸に時間を取って矢印や棒を書き込んで図化する。
ガントチャートを作成することによってプロジェクトに参加したメンバーが進捗やスケジュールをより理解しやすくなるため、プロジェクト管理では非常に重要なツールとなっている。
今でも大きな建設現場やソフトウェア開発等、複数のチームをまたがる複雑なプロジェクト進捗管理ではガントチャートを用いた管理が行われていて、各種ガントチャートを作成できる便利なソフトも出ている。
他にも「PERT図」、従業員の効率改善への程度によってボーナスを支払う「Task And Bonus」を提唱した、「ビジネスの社会への責任」に関する言及等々の功績がある。
テイラーは一日の目標生産数に対して未達の場合はペナルティを課すべきだ、と考えていた。
それに対してガントは一日の目標を達成した場合には日給にプラスして賞与も渡す、という賞与制度を考案した。
この賞与制度はガント式稼業賞与制度と呼ばれている。
いわばテイラーが「鞭」のマネジメントを重要視したのに対してガントは「飴」のマネジメントを重要視した、と言える。
晩年はテイラーの科学的管理技法の原則論とは考えが合わなくなり、結果として人間関係論や企業の社会的責任論の先駆者的存在ともなったと言われている。