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ブレイクスルー思考は、1959年に発表された「ワークデザイン」という小論文に端を発する問題解決の思考法で、企業組織や個人の閉塞状況にブレイクスルーをもたらす発想法を指す。
1959年の時点で「テイラー主義の限界」「デカルト由来の思考法の限界」が存在していて、新しいアプローチとしてジェラルド・ナドラー博士、日比野省三氏が研究/普及したものである。
そうした意味では「システム思考」「解決志向」と似たメッセージと趣旨を持っているものであると考えることもできる。
※この項目は多くの部分を日比野創 日比野省三著『ブレイクスルー思考のすすめ』 丸善ライブラリーから引用/加筆しています。
ブレイクスルー思考は「前提を疑うアンテナ」「目的論」「そもそも論」を重要視し、そこからの「パラダイム・シフト(それまでの定説や定石が覆ること)」を重要視する。
こうしたパラダイム・シフトについては、企業を取り巻く環境の変化(例えば環境問題に対する意識の変化やコンプライアンス意識の変化等)はゆっくりと見えにくく進行するため、意識してアンテナを立てなければこの変化を認識することができないとしている。
ブレイクスルー思考は以下の7つを原則として挙げている。
①ユニーク「差」の原則 すべての事象は独特なものであると理解すること
②目的展開の原則 目的を大きく捉え、再定義すること
③未来から学ぶあるべき姿の原則 未来のあるべき姿から学ぶこと
④システムの原則 万物をシステムとして捉え、目的、全体性、連動性に注目すること
⑤目的「適」情報収集の原則 問題の情報を集めて「問題の専門家」になるのではなく「解決策」の専門家を目指すこと
⑥参画・巻き込みの原則 人を巻き込み「集合天才」を目指す
⑦継続変革の原則 次の手を打ち続けること
また、ブレイクスルー思考のプロセスとしては下記のものを提示している。
第1段階 達成されるべき目的を決定する
第2段階 有望な解決アイデアの創出
第3段階 実現可能な理想的解決策の選択
第4段階 実施案の開発
第5段階 実施策を実行する
ブレイクスルー思考は現在のパーパス経営に繋がるような示唆的な考え方も含まれている。
また、経営工学、IEの流れの中から生まれたものなのでアカデミックで概念的な内容も多く、これまでの哲学や認識論について多くのページを割いている。
もしかしたら「セオリー」ではなく「学問」や「道」に近いものなのかもしれない。
結果、深い勉強や認識の変容に繋がってはいるものの、ビジネス場面で求められるような「シンプルですぐ使えるもの」として期待すると「ちょっと違う」という印象を持つ人も多いと思われる。
そうした意味ではまだまだ研究、分析と落とし込み、応用する余地があるキーワードなのではないだろうか。