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ビッグファイブモデルは、パーソナリティ特性論の代表的なモデルのこと。
パーソナリティ特性論は性格をいくつかの要素と数字で表現しようとする試みである。
性格診断の中で現在一番多くの心理学者に支持されているもの、というと理解が早い。
ビッグファイブモデルではその名前のとおり「神経症性」「誠実性」「協調性」「外向性」「開放性」の5つの要素で成り立っている。
診断としては150項目の質問に答えることで上記の各要素について傾向値が把握でき、各数値の状況を複合的に把握することでより立体的な性格把握ができると言われている。
1、神経症性
感情の安定性の傾向値。強いと神経質な傾向が見られ、ストレスや嫌悪耐性が弱い傾向が見られる。
逆にこの因子が弱い人は冷静で状況に対して大きく反応しない。
尚、神経症性というとフロイトの神経症と言葉が同じなので「感情安定性/感情不安定性」と表現する心理学者もいる。
2、誠実性
誠実性は組織行動に対する忠実性の傾向値である。高いと組織行動へ優れた適応性が見られ、また高い頑固さや集中力を示す。逆に低い人は柔軟性や自発性と関連した数値を示すが、組織行動の信頼性は低い。
若年成人期に高くなり、老年期に低くなる傾向が見られる。
仕事との関連では何人かの心理学者がこの項目の重要性を説いている。
3、協調性
協調性は周囲への思いやりやうまくやろうとすることへの傾向値である。高いと思いやりがあり協力的であるが、低いと自分の利益を優先する傾向が見られる。
また、この数値が低い人は創造的な成果をあげる傾向がある。
4、外向性
外向性は他人との付き合いにおいて活力やエネルギー、自己主張を求める傾向値である。高いと外向的でエネルギッシュになり、低いと内向的で控えめになる。
とはいえ、低い人が反社会的ということではないので注意が必要である。
5、開放性
開放性は好奇心や創造性に対する傾向値で、高いと革新的でオリジナルな人で、低いと保守的である。
高いとよさそうに見えるが、高い人は「集中力の欠如」や「型破りな信念」に繋がることも多いので注意が必要である。
人財開発で使用される多くの診断の原型ともなっていて、その影響力は大きい。
また、「あの人は内向的だ/外向的だ」「協調性がある/ない」という言い方は一般的な会話でもよく耳にするもので、納得度の高いものである。
現在各種SNSで個人の発信する内容とその人のタイプとを比較検討する臨床数も相当な数になっており、その信頼性をより高める方向で検証されている。
しかしながら、その人の将来の行動が具体的に予測できるほどの精度がある訳ではない。
また、性格の捉え方等も議論が分かれる部分であり、批判意見や反対意見もあるモデルである。
人財開発の文脈では就職活動時の職業への適性診断などに活用されているが、まだ「決定的」「間違いない」というまでの評価ではないようだ。
人は環境の産物なのか、それともその人の性格が環境を変えるのか、という観点でもこれからも継続して実験が期待されるキーワードである。