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【ハーバート・サイモン(人名)】

ハーバート・アレクサンダー・サイモンはアメリカの政治学者、経営学者、心理学者である。
彼の研究は非常に多様な分野に影響を与えており、「人工知能のパイオニア」とも「行動経済学の始祖」ともいわれ、評価されている。
ちなみに本人は「専門は何ですか?」と聞かれると「さーて」とはぐらかして笑っていたという。
1978年に経営と意思決定に関する論文でノーベル経済学賞を受賞。

1916年ウィスコンシン州ミルウォーキーに生まれる。
1936年、ハーバード大学でチャールズ・メリアムやハロルド・ラスウェルといった著名な政治学者の指導を受ける。
1942年イリノイ工科大学で教員となる。
1949年からカーネギーメロン大学で心理学と行政学を指導する。その後、コンピューターサイエンスと心理学の教授になる。
1978年、上述の経営と意思決定についての論文でノーベル経済学賞を受賞する。
1986年アメリカ国家科学賞を受賞。
2001年ペンシルヴァニア州ピッツバーグにて死去。84歳だった。

サイモン自身は政治、組織の問題解決と意思決定を生涯の研究テーマとしていた。
そうした中、問題解決と意思決定に至る思考の研究の中で人工知能にたどり着いた。
1950年代後半~1960年頃、人工知能の研究は一時期非常に注目を集めたものの徐々に廃れはじめ、企業のスポンサーもつかず、世間的には注目されない分野で「人工知能は失敗した研究」と評価されるようになっていった。
サイモンも苦境に立たされていたが、本人はお金や成果が目的ではなく、人間の意思決定の研究に対する知的好奇心を支えに人工知能の研究を続けたという。
当時サイモンは「10年後にはチェスの世界チャンピオンに人工知能が勝利する」と予言したが実現できなかった。
サイモン本人も「嘘つき」「ほら吹き」と呼ばれ多くの批判を浴びたという。
ちなみにチェスの世界チャンピオンが人工知能に敗れたのは1997年5月11日と記録されている。
その後、将棋の世界でも人工知能が人間に勝利して今ではプロがトレーニングに人工知能を取り入れるのはごくごく当たり前のことになっている。
サイモンの時代から比較すると隔世の感がある。

2005年、アメリカの未来学者レイ・カーツワイルは、2045年シンギュラリティが到来して人間に豊かな未来をもたらすと予言した。
(ちなみに、アメリカの物理学者スティーブン・ホーキングをはじめ人工知能の発展に対しては悲観的な意見を述べる学者も少なくない)
2022年現在、シンギュラリティが来るかどうかははっきりしたことを言える状況にないが、サイモンの研究は先駆者として高く評価されている。
また、アルゴリズム研究から多くの問題解決技法を派生的に開発しており、企業の人材開発の歴史にも名前を残している。

本人は「人工知能は厳密さを求めるが、人間はざっくりした解答で満足する」といった意見を言っていたという。
人工知能の研究を通して人間の頭を研究したことにサイモンの研究の神髄があると言えるだろう。

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