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トーマス・J・ピーターズ(本記事ではトム・ピーターズと呼称)はアメリカの経営コンサルタント。
「7つのS」をマッキンゼーのメンバーとともに開発し、「エクセレント・カンパニー」の著者として知られる。
1942年ボルティモア生まれ。学生時代はコーネル大学で土木工学を学び、その後スタンフォード大学で経営学を学ぶ。
海軍やペンタゴン、ホワイトハウスに勤務した後1974年から1981年までマッキンゼーに勤務。
1982年にマッキンゼーの同僚ロバート・ウォーターマンと共にエクセレント・カンパニーを著した。
エクセレント・カンパニーは500万部超の大ヒットを記録し、当時は年間200日以上の講演会を行っていたという。
ちなみにエクセレント・カンパニーの日本語邦訳は日本の有名経営コンサルタントの大前研一氏が行っている。
7つのSは企業経営を分析する7つの要素を説明したもので、経営者によってコントロールしやすい3つのハードなS(Structure=組織構造、System=システム、Strategy=戦略)と、経営者によってコントロールしにくい4つのS(Skill=企業組織や人材が保有する技術やスキル、Staff=人材、Style=組織の経営スタイルや風土、Shared value=共有価値)に着目することの重要性を説いた。
ちなみに、7つのSは当時マッキンゼー社内で「定量化して分析しにくい→コンサルティングのサービスとして商品化しにくい」と評価されて、あまり評判がよくなかったという。
結果、トム・ピーターズがマッキンゼーを辞める原因にもなったとされている。
著書「エクセレント・カンパニー」では超優良企業に共通する項目として下記の8つを抽出した。
1、行動の重視
2、顧客に密着する
3、自主性と企業家精神
4、ひとを通じての生産性向上
5、価値観に基づく実践
6、基軸事業から離れない
7、単純な組織・小さな本社
8、厳しさと緩やかさの両面を同じに持つ
トム・ピーターズの功績は、「ポジショニング派(マイケル・ポーターの項目を参照のこと)」に対抗する軸として、組織が保有する能力による経営を重要視する「ケイパビリティ派」の主張を強く支援したことにある。
トム・ピーターズが活躍していた当時は、7つのSが数字化しにくいと評価されたり、またエクセレント・カンパニーで取り上げた会社の多くが「超優良」とは言えない経営状態になってしまったりしたこともあって、「言っていることは分かるけど証明に乏しい抽象論である」という評価が少なくなかった。
しかし、その後IT技術の発達で企業活動がより数値的に分析されるようになると、その先見性が証明されるようになってきた。
トム・ピーターズの考え方はこれからも経営に近い立場にいる人にとって重要なヒントとして重宝され続けるだろう。
三谷宏治「経営戦略全史」より引用 筆者が一部加筆
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