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ダブルループラーニング理論は、組織行動学の大御所クリス・アージリスが説いた企業内における学習の理論である。
クリス・アージリスは組織内の既存の枠組みでの学習のプロセスをシングルループラーニングとし、その既存の枠組みよりも高いレベルで学習するプロセスをダブルループラーニングとした。
例えば商品を販売するためにランディングページを作成して、1年間のPV数の目標を10,000、商品購入件数を1,000件と設定したとする。
当然、どこかのタイミングでPV数は10,000に達する見込みかどうか、商品購入は何件だったかを振り返りレビューを行うのだが、とある時点でPV数は6,000件/商品購入件数は400件になりそうだとする。
では後4,000の差額のPVを埋めるためには、また商品購入600件を作り出すためにはどうするかを考えて実行するのが既存の枠組みでの学習でありシングルループの学習である。
ダブルループ学習は例えば「そもそも今回の目標値は適切だったかどうか」「やり方として商品の対象層に対してランディングページでの訴求が良かったのかどうか」といったことを考え、例えば「直接販売の機会を持つように出店を計画する」「商品のファンクラブを組織し、その中での販売を中心に据える」といったような既存の枠組みを離れた上位の枠組みを考え実行し、学習するのがダブルループラーニングの学習である。
クリス・アージリスによると、現在の企業の経営環境は変化が激しいため、シングルループラーニングの学習のみでは環境適応が難しいと指摘している。
ダブルループラーニングの視点を持つためには、時には既存のプロセスを学習棄却(アンラーニングと呼称している)し、新たな枠組みややり方を取り入れてシングルループラーニングをより強化/改善する必要があるという。
この際に分析するべきなのが枠組みの前提となっている部分であり、ここに目を向けるためには「結果」ではなく「既存の枠組み」自体の是非を分析する必要があり、今やっていることを俯瞰するという、ある種「メタ認知」に近い視点を持つ必要がある。
学習する組織の柱の中にシステム思考(=分解して捉えるのではなく相互の関係をシステムとして捉える)や、メンタルモデル(自分自身のものの見方やイメージ、スタンスを確認する)、自己マスタリー(自分自身の業務内容に高度な習熟をし、創造的に仕事を拡げる)といった要素が紹介されているが、それらと根底の部分で密接に関係している概念といえるだろう。
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