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【センシティビティ・トレーニング】

センシティビティ・トレーニング(Sensitivty Training Method)はアメリカで開発された能力訓練法、組織開発技法、個人変容技法であり感受性訓練と訳される。
手法としてはトレーニングを受ける人を日常から隔離した、行動基準のない不安定な状況に置いたうえで自己、他人、集団についての討論やテストを繰り返す方式を取ることが多く、中長期の合宿で行うことが多い。
人が自らの先入観に気付き、他者に対してより理解のある人間になることをトレーニングの目標としている、とされる。
体験学習、組織開発の代表的手法として捉える向きも多い。

センシティビティトレーニングはマサチューセッツ工科大学のグループダイナミクス研究所が1946年に社会心理学者クルト・レヴィン氏の指導の下行ったワークショップがその始まりと言われている。
センシティビティ・トレーニングの背景となった手法はクルト・レヴィン氏の「場の力学」理論の他にも、国家の情報操作研究、心理操作研究、宗教的訓練技法からの流用が多く、誤解を恐れずに言うならば洗脳や自己啓発セミナー、マインドコントロール技法と紙一重、一歩間違えれば同質の存在と言える。
当初は対人感受性の取得やコミュニケーションの良好化を目的としていたわけで、洗脳やマインドコントロールを目的としていたわけではないとは思われるがアメリカでも精神的に傷を負う人が続出し危険視する声は出ていた。
やがて日本にも1950年前後に持ち込まれ、その後高度経済成長期に「モーレツ社員」「企業戦士」「愛社精神のある熱血社員」を育成するための即効性のあるパーソナリティ変容技法と安易に捉えられて流行した。
こういった研修手法の特徴は過度な「情報のコントロール」「時間のコントロール」「空間のコントロール」「行動のコントロール」を通した錯覚トンネルの形成(ビフォアアフターで自分自身はこれまでの殻を破り、大きく成長した、という錯覚)と感情操作であるとされる。
トレーニングを受けた人に心理的外傷が残ったり、またトレーニングが企業の生産性に結び付かないため企業研修としてのセンシティビティ・トレーニングはやがて衰退したが、その代わりに「自己啓発セミナー」という形で個人をターゲットにしたものが流行した。

チームワーク開発や立場が変わる時期の通過儀礼として合宿が有効であったり、時に自分自身を見直すことが人間的な成長に必要なことは大いにありうるため、センシティビティ・トレーニングに関連するものすべてを頭ごなしに否定はできない部分もある。
しかし、研修の一環として企業が人間のパーソナリティを軽視した考え方でトレーニングを行うことには倫理的な問題がある。
また、素人が感情操作を行うことには非常に大きな危険が伴うため多くの事件を引き起こしてきたことも事実である。
結果、現在は下火になりつつあるが、今でも時々こうした研修を行う企業の様子がテレビやネットを騒がせている。

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