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ストーリーテリングとは本来は物語を語ること。
近年、プレゼンテーションやマーケティングの領域で「商品へ込めた想い」「コンセプト」を物語として語ることの重要性が増してきている。
スティーブ・ジョブズによる「1000曲をポケットに」というアイポッドのプレゼンテーションがその嚆矢となった、と言われている。
スタンフォード大学のマーケティング学教授、ジェニファー・エイカーの研究によると、事実やデータをただ並べるのと物語性のある説明との間では物語性のあるもののほうが22倍も記憶に残ることが確認されたという。
こういった背景を持って注目されるようになったのがプレゼンテーションや説明に物語性を織り込み、顧客をファン化するする手法「ストーリーテリング」である。
ストーリーテリングを活用する際に気を付けなければならないのは「ストーリー」は単なる事実の羅列や時系列に沿った説明のことではなく「具体的に想像しやすく」「共感性を得やすい」「結果感情に刺さる」ものでなければならない、ということである。
そのためには語られる内容には「シンプルかつ本質を突いていること」「登場人物への共感または反感が沸く」「ストーリーの起伏があり、飽きない」「インパクトがある」等の要素を満たす必要がある。
これまでは「営業職の商談レベルのアップのためにストーリーテリングを活用する」「人事が採用時の会社説明でストーリーテリングを活用する」といったように場面を限定した活用が多かった。
しかし、近年ストーリーテリングの持つ力が認識され浸透した結果、物語を組織の共有財産として重要視するようになり、今ではそれが企業価値やブランディング、商品/サービス価値の定義等と密接な関係を持つようになってきている。
つまり、会社説明や商品/サービス開発のストーリーは企業組織がビジョンや進むべき方向性、誇りや矜持の持ちどころとして掲げる「旗」としても重要な役割を持つようになっているのである。
このように、あらゆる企業ブランド、商品やサービスがコモディティ化する現在、ストーリーテリングが持つ意義と企業に与える影響はますます拡大している。
その一方では「話の盛りすぎ」「小手先の嘘八百」になってしまわないように注意が必要である。