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【ジャスパー教材設計7原則】

ジャスパー教材設計7原則は、アンカード・インストラクションの項目で解説した「ジャスパー冒険物語シリーズ」を成功に導いた7つのルールのこと。
「ジャスパー冒険物語シリーズ」は1990年代に、アメリカの小学校高学年から中学生を対象として主に算数の問題解決力の習得支援としてアメリカテネシー州のバンダービル大学によって開発された。
「ジャスパー冒険物語シリーズ」は大きな成功を収め、その後のビデオ教材のモデルケースとされるようになった。
そうした中で、質の高いビデオ教材を作るためのルールが「ジャスパー教材設計7原則」としてまとめられて教材作成時の指針とされるようになった。
また、教材の有用性分析の観点としても用いられている。

ジャスパー教材設計7原則は下記の7つである。

①ビデオ提示     登場人物や状況設定、物語の進行はビデオで説明する
②物語形式       起承転結のある物語とする
③生成的学習    学習者自身の手で問題解決するまで物語の結末を見せない
④情報埋め込み設計       問題解決に必要な情報はすべて物語/ビデオの中に入れる
⑤複雑な問題     複雑な問題に取り組むことを通して論理的思考やメタ認知育成を図る
⑥類似冒険のペア化       別の物語でも類似の技能を使うことで、学習内容の応用力を高める/転移を促進する
※教育心理学の世界では学習した内容を他の文脈でも使いこなせるようになることを『転移』と呼ぶ
⑦教科間の連結 同じ物語で別の教科の学習内容を自然に提供し、統合を図る

例えば、「ジャスパー冒険物語シリーズ」の第1話では主人公が中古のボートが販売されていることを新聞を通して知る。
中古のボートを買って、物語の最後に「日没までに燃料を切らさないで帰れるか」という問題が提示される(物語形式)。
見ている子供たちが「帰れる」という答えにたどり着かない限り、ビデオの続きは見せない(生成的学習)。
物語の中では44の数字情報が提示され、そのうち実際に使うのは17である(情報埋め込み設計)。
更に、燃料を買うためのお金があるかどうか等、正解にたどり着くまでに必要な計算式は16となっている(複雑な問題)。
第2話ではけがをした鷲を早く病院に運ぶにはどうしたらいいか?という形で第1話の内容を応用する物語が展開する(類似冒険のペア化)。
また、教師向けのマニュアルでは新聞を読む習慣づけについての記載がある(教科間の連結)。

ジャスパー教材設計7原則は子供向けの学習教材設計のモデルとして生まれたものだが、応用性は高く、企業研修のケーススタディ作成やロールプレイングのケース、研修ゲームを作成する際に参考とされることが多い。
最近見かける大手研修会社の若手/新人向け研修パッケージもこうした考え方の基で作成されたものが少なくないようだ。

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