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ジグソーメソッドはアクティブ・ラーニングの手法の一つで、現在企業研修のアイスブレイクやチームビルディングの手法として多く見られる手法である。
「不貞の法則」等の有名な心理学法則を多く提唱した、著名な心理学者であるエリオット・アロンソンが開発した。
ちなみにアロンソンはアメリカ心理学会の120年の歴史の中で唯一執筆、研究、教育の3つ分野(主要学術3部門と呼ばれる)で表彰された唯一の心理学者で、2007年にはウイリアム・ジェームズ賞も受賞している。
ジグソーメソッドは、やり方としては「断片的な情報を組織で共有し、ジグソーパズルを組織で解くように情報を共有して答えを導き出していくやり方」と説明される。
その効果としては「話しやすい場づくり」「ロジカルシンキングの向上」「組織力の向上」「コミュニケーションスキルの上達」「学習意欲の上昇」といったものがあるとされている。
また、ゲームをしているチーム内の力学を観察することで「リーダーシップ」「ファシリテーションスキル開発」といった学習効果がある、と説明されることも多い。
ジグソーメソッドを取り入れた研修ゲームで有名なものでは「野球のポジション当てゲーム」「ヴェロン記念塔」「バスは待ってくれない」といったものが企業研修会社の手で開発され、販売されている。
アロンソンの問題意識は多民族の多様な価値観が存在するアメリカの学校教育の中でどうやって生徒間で協力関係を構築し、学校を好きになってもらうかというところにあった。
アロンソンはジグソーメソッドを通して得られる学習について「人と協働することは喜びをもたらしてくれるが、大事なのはそれだけではない。次第に複雑化していく社会の中で協働する能力は生き抜くためにも習得されなければならない技能である」と述べている。
アロンソンの問題意識は非常にシビアな上に今日的でもあると言えるだろう。
しかし、ジグソーメソッドを取り入れた研修ゲームに対しては「体験から学ぶのでとりあえずやっておけば受講生が喜ぶし何か効果がある」「真面目な研修を一日やるとしんどいので目先を変える意味でゲームを採用する」位の理解しかしていない研修講師や人材開発担当者も少なくない。
今後、より発展的な活用と研究が期待される分野である。