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【ジェネリックスキル】

ジェネリックスキルとは、日常生活、社会生活を送る上での汎用技能として説明される。
近い考え方のものに「ポータブルスキル」や「社会人基礎力」「移転可能スキル」がある。
それぞれの呼称とその研究を行った省庁を図にすると下記のような形になる。

どれも「専門性ではなく、あらゆる組織や場面で求められる汎用能力」という点では同じである。
ジェネリックスキルについての議論は、大学教育の分析を行う文脈でなされることが多い。
2008年中央教育審議会による答申の中では、ジェネリックスキルの中核になるのは「コミュニケーションスキル」「数量的スキル」「情報リテラシー」「論理的思考力」「問題解決力」とされた。
2006年に経済産業省により「社会人基礎力」が制定されているため、その影響も大きく存在すると考えられる。
ちなみに海外でも2000年代初頭からジェネリックスキルやポータブルスキルに該当する汎用スキルはどういうものか?という研究は行われていて、その結果についても日本の社会人基礎力やジェネリックスキルに似たものとなっている。

ジェネリックスキルの議論の中には、大学で身につけられるのはアカデミックな知識だけではなく、大学時代に学んだことや経験、知見を社会や企業で活用し還元することで社会に貢献することが期待されている、という期待値の変化が包含されている。
このことについては、当時から大学のベテラン教授をはじめとする知識人達が「大学は就職予備校ではない」「大学はサービス業ではない」「大学をビジネスの文脈で考えてはならない」といった趣旨の反論を行っている。

大学教育と研修サービスは別のものとして考えなければならないという前提はあるものの、両方とも「タイムパフォーマンス」「コストパフォーマンス」「シラバスまたはカリキュラムによる工程管理」といった経営工学的な物差しで評価されるようになった、という趨勢がある。
その一方でポータブルスキルやジェネリックスキルが汎用的かつ重要なもので、定義、計測、形式的な訓練のし難い「人間力」のようなものであるのならば、それは企業教育の守備範囲外である可能性も高い。
またそれは、お金を払って何かすれば身につくという種類の「インスタントなもの」ではない。
仕事は全人的なものであるが人生の全てではない、この点の捉え方に「社会人/企業人に求められる汎用スキル」の研究が袋小路にはまるポイントがあるような気がしてならない。

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