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Complianceと表記し、主に企業組織が「命令や要求に従うこと」を意味する。コーポレートガバナンス(企業統治)の原理原則の一つで、日本では「法令遵守」と訳されている。
ここ10年~20年で普及した概念だが、もともとの「法令遵守」の意味に追加して「企業倫理や社会的要請、常識/良識に従うこと」を含む用語として概念の守備範囲を拡大してきている。
※概念を拡大したコンプライアンスを「フルセット・コンプライアンス」と呼ぶ。
本来社会的存在である企業が法令を遵守するのは当たり前と言えば当たり前のことだが、企業経営のキーワードとしてその重要性が徹底されるようになってきたのは意外と最近のことである。
日本企業のコンプライアンス経営のスタート地点は2000年12月に閣議決定された「行政改革大綱」にあるとされている。
2000年代の日本は規制緩和と行政のスリム化が政治の大きなテーマであった。
規制を緩和すると「官」の守備範囲は狭まり「民」の守備範囲は拡大する。
民の自由競争によって国民が享受するサービスや利便性の質は向上することが期待されるが、その一方で「官(=監督官庁)」によるチェック機能の低下と同時に自由競争による「身勝手な企業活動」が横行することが懸念されていた。
そこで、「行政改革大綱」には「規制改革」とセットで「企業の責任ある行動への期待」が盛り込まれることとなった。
コンプライアンス意識の高まりは日本企業独自のものではなく、グローバル経済の発展とセットであり、現在の動向もその延長線上であると説明する向きも多い。
海外でも2000年前後からエンロンなどの有名企業が不正会計や違法行為を行った結果、市場から姿を消す結果となった。
ちなみに、欧米の企業は日本企業よりもコンプライアンス体制が厳しいと言われている。
コンプライアンスの流れと「CSR(=Corporate Social Responsibility企業の社会的責任と訳される)」といった概念の認識の拡大、コーポレートガバナンス体制の評価は企業の社会的信頼性等の要素と密接に結びつき、結果株価やブランド価値といった「企業価値そのもの」に大きな影響を与えるようになってきている。
今後、経済環境や社会情勢がどう変化していくかは不透明だがコンプライアンスの重要性、注目度が下がることは恐らくないだろう。
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