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キャリア・ショックは、自分自身の積み上げてきたキャリアがある日突然陳腐化して自分自身のキャリアの将来像が崩壊してしまう現象のこと。
慶応大学大学院政策・メディア研究科教授で日本のキャリア論の第一人者、高橋俊介氏が2000年の著書『キャリア・ショック』(東洋経済新報社)の中で提唱した。
※今回の内容は『キャリア・ショック』(東洋経済新報社、著:高橋俊介)から引用しています。
『キャリア・ショック』によると、アメリカのサン・マイクロシステムズ社CEOだったスコット・マクナリーは、自社の社員に対して「2年以上同じ仕事をするな」と言っていたという。
その理由は仕事が陳腐化するから、とのことだが、これに対して高橋氏が「それではスキルの蓄積ができないのではないか」と質問したところ、サン・マイクロシステムズ社の幹部は「スキルが蓄積するころには陳腐化するだけだ」「スキルは蓄積するものではなく、更新するものだ」と答えたという。
書籍が出版されたのは今のように「VUCA環境」「AIの発達」「人生100年時代」「リスキリング」といった言説が出てくる前の話である。
キャリア・ショックの深刻さは2000年当初よりもはるかに増大している状況と言えるだろう。
『キャリア・ショック』の中で高橋俊介氏はキャリア・ショックに備えるためのヒントやポイントをいくつか提示している。
自らキャリアを切り開いた人30名超に対してインタビューを行う中で、共通する行動パターンとして下記のようなものを挙げている。
①仕事を膨らませる 自分のやりたい仕事を日ごろから連続的に増やす
②布石を打つ 社内外の人脈を増やす、目標を普段から口にする、論文を書くなど自分の望む方向性に向けて布石を打ち、踏み出す
③キャリアを進める 今のキャリアは「富士登山型」ではなく「連山型登山」となっているという。そこで、今の職種を一点集中で極めるのではなく周辺領域に次の目標を見つけてそこに向けて計画的に進める
④キャリアを振る 思い切って転職する等、大きな決断をする
インタビューに答えた人達は独特な形で自分自身の道を切り開いてきた人達ばかりだったが、そうした人達でも自分自身が5年後どうなっているかゴールは見えていないと答えたという。
少ない紙幅では著書の内容や要点を的確に切り取ることが難しいが、現在の企業人にとって少なくないヒントが書かれている。
当時からしたら破格の先見性を持った書籍と言えるだろう。
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