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【カルト】

カルトとはもともとは「儀礼」や「礼拝」を意味するラテン語を語源とする言葉で、小規模だが熱狂的な信者の集団を指す言葉だった。
1978年、南米ガイアナで起こったアメリカの宗教集団「人民寺院」の集団自殺事件をきっかけに「反社会的集団」「犯罪的な行動を起こしかねない閉鎖的な性格を持つ集団」という語意で語られるようになり、批判的なニュアンスで使用されるようになった。
ちなみに人民寺院の集団自殺事件は、マインドコントロールや洗脳の歴史、カルト組織が起こした事件の歴史を語る上では避けて通れないほど有名な事件である。
918人もの人が亡くなり、2001年の同時多発テロが起こるまでアメリカで最も悲惨な事件とされていた。

企業の場合は偏った企業文化を持つ会社を「カルト企業」と呼ぶことがあり、また人材開発の文脈では「カルト研修」という言葉が存在する。
「カルト企業」「カルト研修」は「ブラック企業」「ブラック研修」とかなり意味が近い類義語と言える。
問題なのは、世界的に「独自の企業文化」を持って独特な考え方で成果を挙げている企業は多く存在していて(当然日本でも)、そうした会社は一歩間違えると「カルト」に分類されかねないギリギリの線を歩いていることも多々ある、ということである。

カルト企業を見分けるためのポイントは下記のようなものが挙げられる。

・拝金主義的な企業文化を持っている
・創業者、創業家は突出したカリスマや伝説の人物として語られ、そこに強烈な忠誠を強いられる
・「世間の常識」は間違っていて「自社の考え方こそが正義」という信念が強く組織風土に存在する
・不安心理に付け込んで従業員をコントロールしている
・顧客への奉仕は強烈に謳われるが従業員満足は軽視される
・謎の儀式や特殊用語が組織の中で極端に重要視されている

特に従業員満足度と顧客への奉仕のバランスは大きな面積を占める重要指標である。
マインドコントロールの基本原則は行動、時間、思考や感情の支配と空間及び関係性からの隔離である。
一般的な会社員の働いている時間は一日の中で空間的にも、時間的にも、人間関係的にもどうしても会社の影響が大きくなりがちなため、カルト的なアプローチは会社員を動かす上で有効手段となりやすいのが問題を根深いものにしている原因の一つとなっている。
また、ストーリーテリングをはじめとするコミュニケーション上の技法がカルトの片棒を担いでいるのも現実のようだ。
(技法自体が悪いものではなく、使い方が悪いとそうなるという典型的な見本である)

従業員が誇りの持ちどころになるエピソードを語るのは悪いことではない。
従業員を活性化するのは大事なことだし、経営者が強い信念を持つこともそれ自体は悪いことではない。
しかし、それがもしかしたらカルト的な組織文化を作る原因になっていないか、という観点で自己点検することが経営者やリーダーに課せられた重要な役割と言えるだろう。
多様性を認めていく社会の方向性からしても、経営者やリーダーは非常に大きな責任を背負っている。

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