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エンプロイー・エクスペリエンス(Employee Experience)は2018年頃から注目されるようになった概念で、狭義では従業員がする体験のこと。
広義では従業員体験をより良いものにすることで、従業員満足度、従業員エンゲージメントの向上を目指す取り組みや活動のことを意味する。
マーケティングの考え方の一つである「カスタマー・エクスペリエンス」を従業員に転用したのが元々であると思われる。
エンプロイ―・エクスペリエンスには下記のような要素が含まれる。
①早期適応を助けるためのオン・ボーディング活動
②職場環境の充実
③1on1ミーティングの実施(個人の課題についての解決支援)
④福利厚生の充実
⑤生産性向上のためのシステム導入
単純な福利厚生や待遇だけの要素でできているわけではなく、複数の要素が複合的に絡み合っているものである。
そうした意味では、企業で働く報酬を広く捉えて従業員の定着や生産性改善を図る「トータル・リワード」と近いところにある概念と説明できるかもしれない。
また、エンプロイー・エクスペリエンスが注目されるようになった状況としては、下記のような状況が重なった結果であると分析されている。
・労働人口の減少
・優秀な人材の獲得競争の激化
・キャリアや仕事の取組についての主導権が会社中心の考え方から個々人を中心に考える方向に変化してきた
・人材紹介サービスやネットの普及で企業内の空気や風土の情報が外に漏れだすようになった
エンプロイー・エクスペリエンスの設計プロセスとしては、ペルソナ分析などのカスタマー・エクスペリエンスの設計と近しいものが紹介されることが多い。
ES(従業員満足度)の高い会社はCSが高く、業績もいいことが厚生労働省のHPでも紹介されている。
そういう意味ではESを重視する企業経営のスタイルは公的なお墨付きがある考え方になってきていると言える。
こうした観点から考えると、ブラック企業のような存在は自らの首を進んで絞めている状況であり、パワハラなんて本来あってはならないものである。
しかし、この考え方の浸透度合いや実施状況にはまだまだ多くの課題を抱えているようだ。