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【エコーチェンバー効果(心理学用語)】

エコーチェンバー効果とは、閉鎖的空間の中でコミュニケーションを繰り返すことで偏った信念が強化増幅されて、より偏った方向に行ってしまう現象のことを表した心理現象のことである。
ちなみにエコーチェンバーとは録音スタジオのように閉じられた空間で音が響く残響室のこと。
エコーチェンバー効果の結果、優秀な人がそろっているはずの組織が愚かな決定や行動をとってしまうことを集団浅慮と呼ぶ。
オウム真理教の事件の時には高学歴の人がなぜ犯罪行為に走ってしまったのか、という論点で考える際に背景としてエコーチェンバー効果があると説明された。

現在、エコーチェンバー効果が最も働いているとされているのはネット上である。
米国の法学者サンスティーンは、上述のエコーチェンバー効果とフィルターバブル効果(検索アルゴリズムの発展の結果、自分にとって関心のある情報の周辺情報ばかりが目に留まるようになり、そのことが意識できない結果個々人が目に見えない泡の中に隔離されているような状態になる現象のこと)の結果、サイバーカスケードと呼ばれる現象が認められると発表して話題となった。
サイバーカスケードは「ネット上での集団極性化現象」と訳される。
人と人が集団で議論すると「相手の言い分を受け入れて中立に寄る」のではなく、極端に先鋭化した意見を集団で持つようになる傾向が見られるという。
ちなみにカスケードとは階段状に水が流れ落ちていく滝のことで、一つの意見に向けて意見が集約されて大きな流れとなることを比喩した表現である。
サイバーカスケードが「ネット炎上現象」や「コロナ禍での自粛警察行動」「道徳の暴走」といった現在起こっている特徴的なできごとの背景にあるとされている。
エコーチェンバー効果、集団浅慮はそれぞれ以前から指摘されていた心理効果だったが、現在のインターネットの普及と検索アルゴリズムの発展が相乗効果を起こして新しい状況を生み出している。

人材開発の観点でエコーチェンバーを考える際の大切な切り口は大きく二つあると考えられる。
一つは自分たちの組織がエコーチェンバー現象を起こしていないか点検する視点を持つことの重要性である。
「良薬は口に苦く、忠言は耳に逆らう」という諺のとおり、状況を自分に都合の良いようにとらえるのではなく、冷静かつ「安易に白黒つけない」目線が求められているといえるだろう。
もう一つは顧客接点活動時に「モンスタークレーマー」「カスタマーハラスメント」や「炎上」がネット上で起こる背景のメカニズムにこういった心理現象があることを十分に理解することである。
一つひとつの接客場面は真剣勝負であると認識しながらも、状況を冷静に俯瞰し、相手の背景にある現象を認識して対処することの重要性がますます高まっているのである。

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