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ウェルビーイングは「良い(Well)」と「状態(Being)」が合わさった言葉、要するに「良い状態、心身ともに健康な状態であること」を示す概念である。
従業員の健康維持に力を入れることを企業の重要な価値として位置づける「健康経営」が普及する中で、その中心的な概念として知られるようになった。
とはいえ「ウェルビーイング経営」という用法も見られ、あまり明確な使い分けをしているわけではなさそうである。
尚、健康経営についてはアメリカでは1990年代頃から広まっていったとされている。
アメリカでは公的医療保険がないため、当初健康経営への取り組みは人材への投資と考えられていた。
その結果生産性や業績の向上、改善が見られたため、積極的な評価がされるようになったという流れを持っている。
日本の「健康経営」の流れは2010年前後とされていて、その前は「ブラック企業」と呼ばれる企業群の存在とその悪行が認識されていた。
こうした流れから「ウェルビーイング」は新しい言葉のように感じるが、少なくとも1951年に公布された世界保健機関憲章前文の中にすでに使われていたようだ。
また、概念的には16世紀のイタリアの言葉「benessere(ベネッセレ)」を始祖とする説もある。
アメリカの心理学者で「ポジティブ心理学」の創始者であるマーティン・セリグマンはウェルビーイングの構成要素として「PERMAの法則」を提唱している。
P (Positive Emotion):ポジティブ感情
E (Engagement):エンゲージメント、組織との結びつき
R (Relationships):良好な人間関係
M (Meaning):意味や目的
A (Achievement):達成感
また、世界的な調査会社で健康経営に関してのコンサルティングもしているギャラップ社では、ウェルビーイングの要素を「キャリア」「経済状況」「人間関係」「身体/健康」「コミュニティとの関係性」の5つとして説明している。
ちなみにギャラップ社は、日本が非常に低いことで有名な「国別の幸福度調査」や「熱意のある社員の割合調査」を実施している会社で、世論調査の業界では先駆者的存在として権威があると言われている。
ウェルビーイングはここ10年くらいの大きな変化の中で確実に多くの企業組織や社会に大きな影響を与えた概念であり、この変化は継続中である。
将来の企業組織は今現在の企業組織とは別の姿になっている可能性も高い。
今後、どんな取組や成果が出てくるか注目される分野である。