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イクメンとは「イケてるメンズ」の略語である「イケメン」から派生した造語で、「育児に協力するメンズ」のこと。
ちなみに「イケメン」自体は1990年代の同性愛者が使っていた俗語が広まったものとされている。
派生語として「イクボス」という言葉もあるらしい。
イクメンは2007年ごろから女性雑誌、育児雑誌で取り上げられるようになり、2009年育児・介護休業法を改正するにあたり厚生労働省も「イクメンプロジェクト」という形で啓蒙活動を行うことで普及の後押しをしてきた。
2010年に当時の長妻厚生労働大臣が「『イクメン』『カジメン』を流行らせたい」と発言していて、12月には流行語大賞を取得している。
尚、イクボスについても厚生労働省は普及プロジェクトを立ち上げている。
その背景には日本人男性の育児休業の取得率の低さがある。
日本人男性の約3割が育児休業をとりたいと考えている一方で、実際の取得率は2010年時点で2.63%しかなかった。
こうした状況を踏まえ、2010年6月に策定された「新成長戦略」において、数値目標が2020年までに13パーセントと具体的に掲げられた。
2023年6月1日の厚生労働省の調査によると、1000人以上の大企業対象で1472件の回答数の調査においては46.3%の企業で男性の育児休業が取得されているという。
日本の労働人口の中で約3分の1が大企業に関連する組織に務めている。
その46.3%が育児休暇を取っている、という結果であればかなりの普及状況と捉えることもできるが、この数字については就労人口全体を観察した時の実態や中小企業の実態とは大きな乖離があるとも推測されている。
言葉と概念の普及において目覚ましい成果を上げた「イクメン」だが、現在雑誌などのいくつかの調査でこの言葉に対して嫌悪感を持つ人たちがいるとされている。
このことについては「キャリアを強く志向するのは男性にとっては当たり前、女性は『バリキャリ』と言われる→結局女性の活躍にはガラスの天井が存在する」とはいえ「実際には男性にしても女性にしても育児休暇を取得すると昇格への影響が心配ごととしてあるとされている」といった諸状況に経済的な状況も重なり、気が付いたらイクメンという言葉が「育児や家事と仕事を両立できる、妻への気遣いもできて稼げる男性」というイメージになってしまい、要は「イクメンアピール=嫌味なやつ」というように言葉のニュアンスが変貌してしまったことが指摘されている。
日本国内で経済格差が拡大している状況もこの傾向に拍車をかけているようだ。
日本の働き方は古いのかもしれないが、それを刷新しようとして行う国や企業の対策の多くが「言葉や概念を流行らせる」「認定を出す」「とりあえずやりやすいところで成功事例を作る」だけなので、文化や風土といった根深い部分は変わらないまま表層だけの変容にとどまっているものが多い。
より本質的な変化に向けてどのような施策や取組がなされるのか、今後も注目のキーワードである。