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ジュール・アンリ・ファヨール(フランス語読みだとフェイヨール)はフランスの鉱山技師、地質学者、経営者、経営学者。
管理過程学派の始祖で「管理原則の父」と呼ばれる。
フレデリック・テイラーと同時期に活躍し、テイラーと並び経営管理論の礎を築いた人物とされている。
1841年、父の赴任先だったコンスタンティノープルに生まれる。
19歳でグランゼコールの一つを卒業し、ボアグ・ランブール社に入社。
25歳で炭鉱技師から主任技師に昇格すると、31歳で鉱山部門の役員、37歳で鉱山の経営を経験し、47歳で社長に就任した。
彼は資金調達、新規事業への集中等で優れた手腕を発揮し、倒産寸前だった会社を立て直し、以後30年に渡り経営の指揮を執ることになった。
1916年、主著「産業並びに一般の管理」を出版。
この本が管理過程学派の源流となる。
ファヨールは企業における必要不可欠な活動を「技術活動」「商業活動」「財務活動」「保全活動」「会計活動」「経営活動」の6つに整理/分類した。
また、企業の経営管理プロセスとして「POCCCサイクル」を提唱した。
1、計画(Planning)
2、組織化(Organizing)
3、指令(Commanding)
4、調整(Coordinating)
5、統制(Controlling)
POCCCサイクルは後に広く普及したエドワード・デミングのPDCAサイクルに大きな影響を与えたとされている。
ファヨールは経営管理も職能の一つと考え、社長は時間/能力の50%を経営活動に充てるべき、とした。
また、経営管理を「マネジメント」ではなく「アドミニストレーション」と表現したのもファヨールと管理過程学派フォロワーの特徴である。
「マネジメント」を拡げたドラッカーよりもファヨールの方が先なのだが、現在の我々の目線からすると「アドミニストレーション」は経営管理の意味ではあまり耳慣れない表現である。
過程管理学派は、複雑な経営活動においてどんな時にも通用する完璧な原理原則を見出そうとして、結果経営環境の変化に対して対応できない硬直的な部分が出てきたり、内容の矛盾を指摘されて批判を受けたりするようになった。
しかし、後の人間関係論的な「関係の管理」といった観点を持っていて先見の明がある点や、ドラッカー等の後に続く優れた経営学者に大きな影響を与えた点、何よりもファヨール自身が優れた経営者であり実務において大きな成果を挙げた、という点では今でも非常に高い評価を受けている。
三谷宏治「経営戦略全史」より引用 筆者が一部加筆
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