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【アブラハム・マズロー(人名)】

アメリカの心理学者。人間性心理学の生みの親と言われている。
人間性心理学を精神分析、行動主義心理学の後の「第三の心理学」と位置付け、心理学にとどまらず経営学や倫理学、哲学などのやや分野の違う学問を横断して積極的な論考を行った。
当時、精神分析はフロイト由来のやや決定論的な論調や意識を軽視した考え方が弱点として指摘されていた。また、行動主義心理学は人間をあまりにも動物的に捉えすぎている、という批判があった。
マズローは経営学の文脈から見るとメイヨーの文脈に連なり、正常、健康な人間による平和で安全な会社組織の研究を志向した学者と位置付けることができる。

マズローの研究で最も有名なのは「欲求5段階説」と呼ばれるもので、彼は人間を「自己実現に向かってたえず成長するもの」と仮定した。
マズローの説明によると、人間の欲求は下記のような5段階で理論化できるという。

生理的欲求:食事や睡眠など、生存に関わる欲求のこと。一般的な動物はこれ以上高次の欲求を持つことはほとんどない、と主張している。
通常、人間はこの欲求が満たされるとすぐに次の安全の欲求を求める、としている。

安全欲求:安定した経済状況や健康状態などを求める欲求のこと。ある程度秩序だっていて、予測可能な環境を求める欲求である。
この次元の欲求は一般的な大人は動機付けとして機能しないと説明している。

社会的欲求:
社会に必要とされている、という実感や組織に受け入れられている、所属しているという実感を求める欲求のこと。生理的欲求と安全欲求が満たされると現れるとされている。

承認欲求:
自分が集団から価値あるものと承認されることを求める欲求のこと。承認欲求には低次のものと高次のものがあり、低次のものは他社からの尊敬、地位、利権、名誉などによって満たされる。尚、マズローは低次の承認欲求にとどまり続けることを危険視していた。高次のものは自己尊重や自立性によるもので、他者からの承認ではなく自分自身の評価を重要視するものである。
この欲求が満たされないと自己肯定感が低い状態、劣等感や無力感を持った状態になる。

自己実現欲求:
自分が持つ能力、キャラクター、適正、才能などを最大限に発揮し、なりたい自分を目指す状態のこと。
下位の4つの欲求を飛び越えてこの欲求の充足を満たす者もいる。
(例えば就職しないでアーティストを目指す若者等がそれにあたるだろう)

マズローの研究結果には批判も多く、(心理学の研究にはたえずつきものではあるが)その実験結果や結論の正当性、科学的合理性には疑問を持つ意見も多い。
しかし、企業組織とその構成員の心理を説明/分析する切り口として非常に便利なものであることも事実である。
今でも(やや使い古された感はあるが)論文が多く引用され、影響力のある心理学者といえる。

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