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MBO(Management By Objectives and Self-Control)は、企業の人事/マネジメントの考え方の一つで「目標による管理」のこと。
ピーター・F・ドラッカーが提唱した。
ドラッカーのもともとの問題意識は「社会を豊かにし、そこで働く人たちを幸福にする存在である『企業』は『全体主義的な考え方ではないやり方』で経営されていくためにどうするべきか」というところにあり、ドラッカーのマネジメント論の根本となっている。
企業をどう統治し、また雇用した人をどう育成していくか、というテーマに対してドラッカーが出した結論は「目標を立てるのに本人も参画させ、本人の自律性、自主性、モチベーションをベースに上司と一緒に管理する」というものだった。
ドラッカーのMBO論の初出は1954年に出版された「現代の経営」であり、GEやゼネラル食品、シアーズなどの先進企業の研究結果を基に提唱された。
ドラッカーは「現代の経営」の中で「教会を作る3人の石工の話」に例えて(専門性は当然重要としたうえで)「組織に参加する人全員が経営目線を持つことで部門管理時に全体最適を考える」ことの重要性を説いている。
「マネジメントとは、自らの行動によって全体への責任を取るもの、すなわち石を切ることによって教会を建てるもののことである」という言葉には後の「経営者の条件(1966年)」とも共通する考え方が表現されている。
ドラッカーは組織内の個人を上からの圧によってコントロールすることを徹底的に嫌っていたようで、たとえ多少非現実的に思えても「個々人が組織に対してコミットメントすることで企業は運営されていくべき」と考えていたようである。
日本ではMBOは「目標管理」と訳され、バブル崩壊後に多く見られた成果主義人事制度の理論的背景となった。
結果、多くの企業に「目標管理」が導入されたが、「目標を管理」「ノルマ主義」「結果による(昇進の)管理」となってしまい、ドラッカーが意図したものとは別の形になっているものも少なくない。
「目標管理」のそもそもの概念はノルマ主義とは全く反対の問題意識から出発している、ということに十分な注意と理解をする必要がある。