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CLOはChief Learning Officerの略で最高教育責任者と訳される。
CHRO(Chief human resource officer)が人事全般の業務の最高責任者であるのに対して、CLOは学習プログラムの導入や研修の企画といった人材開発に関連する業務の最高責任者である。
欧米では90年代前半から注目されるようになった。
GEで当時のCEOジャック・ウェルチ氏が「各事業のリーダーを徹底的に育てることが競争力の一つになる」と考え、リーダー養成所を設立したのが最初であると言われている。
日本の企業で戦略人事やタレントマネジメント等の認知が拡がるにつれてCHROの導入は少しずつ広がりを見せているが、CLOはまだあまりなじみがない。
日本でも2000年代に見られた企業大学(コーポレート・ユニバーシティ)の実質的な責任者がCLOに相当する、と捉えることもできるかもしれない。
CLOの役割を導入するメリットは下記のようなものがあると言われている。
①経営層や社会環境の変化を捉えた長期的な人材育成計画を立案できる
②自社に合った教育の検討や改良の機能が長期的な視点で強化できる
③個人にあった教育研修等、ツールの充実や精度の向上が期待できる
特に①のメリットは教育の充実が企業の競争力に寄与しやすい状況を作れるようになるため、経営者にとって十分なメリットがあると考えられる。
その一方、日本企業でCLOの導入が進まない理由としては下記のような点が挙げられる。
①教育担当だけで役員クラスの責任者を置くほど教育に力を入れている会社は多くないので、CHROや人事部長が兼任することが多い
②社内でコースを開発したり、講師やトレーナー、インストラクターを養成したりするのにコストや時間がかかる。また、せっかく社内で講師を育てても辞めてしまうことが少なくない
③①と②の結果、CLOを置くほど「教育についての長期的な視点」や「自社の企業文化の本質を捉える視点」が生まれにくい
④大企業でなければCLOを置くほどの余裕がないが、大企業になると仕事の種類や役割が多く複雑化するため人材育成計画が汎用化/抽象化しやすく、結果CLOの役割が発揮しにくい
企業内大学の機能が外部のコンサルタントや講師を招聘する際の管理部門みたいになってしまうことは実態として少なくない。
上記①~④は日本の人材開発の文脈で議論検討されることは多くないが、実は根深い現象なのである。
今後日本でCLOが定着するかどうかは今後の日本企業の変化と大きく関連してくる問題と言えるだろう。