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【QC活動】

QCは「Quality Control:品質管理」のことで、QC活動は日本の製造業を中心に行われた職場の改善活動のことを指す。
「QCサークル活動」「小集団活動」「改善活動」等、類似の活動を指す呼称も多く存在する。
経営学の流れではテイラーに連なる工場や倉庫の科学的管理技法、生産性管理技法を現場に展開するものとして位置づけることができる。

戦後、1950年代にアメリカのデミング博士が品質管理の考え方や統計的手法を日本に伝え、1960年代に多くの日本の生産現場や倉庫で行われるようになった。
日本企業の多くはQC活動に取り組み、日本製製品の品質や低価格が国際的に高い評価を得るようになる。
1980年代が流行の最盛期であったという意見が多い。
QC活動は長く日本の生産現場の教育や活動の基盤として残り続け、「日本的雇用制度」と一緒に日本の高度経済成長を支えた重要な要素と考えられていた。
また、1990年代になるとアメリカが日本企業発展の事例を研究する中でTQCとして再定義され、アメリカの製造業の復興にも寄与したとされている。
こうした長い歴史の観点から、大まかに日本の研修会社やコンサルティング団体を分類すると、QCや生産性改善活動の支援を祖業とする「テイラー系列/科学的管理技法系」とリーダーシップやモチベーション教育から発展した「メイヨー系」に(かなり乱暴な分類ではあるが)分けることができる。

数字データによる管理と統計による分析を中心とした「QC7つ道具(グラフ、パレート図、ヒストグラム、散布図、管理図、特性要因図、チェックシート)」と、言語データを中心に扱う「新QC7つ道具(親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイヤグラム法、PDPC法、マトリックスデータ解析法)」がその中核をなす技法である。
プロジェクトマネジメント手法やロジカルシンキングの技法と重複、または一脈通ずるものも多く、本来的にはこの3つは明確に分類できないものなのかもしれない。

現在は衰退の一途をたどっていると言われているが、その理由としては下記のようなものが挙げられている。

・何回、何年も継続して行っているうちにマンネリ化してしまい、分かりやすい改善点はやり尽くして生産性や業績の向上に貢献しなくなった。また、「生産性を改善する」ためのものというよりは「教育の場」に位置づけが変化してしまった
・そもそも流行の変化が大き過ぎるため、会社内の小さな改善の積み重ねだけでは大きな変化に対応しにくくなった
・活動自体がISO品質マネジメントシステムの普及と競合するようになった
・こうした活動が向く部門(生産管理や経営企画等)と向かない部門(営業部や人事部)があり、「全社的」「組織横断的」にはやりにくい環境がはっきりしてきた
・社内外でQC大会などが過剰に行われるようになり、「プレゼン資料にばかり力を入れるもの」「賞を取るための活動」になって形骸化した
・合宿形式の研修や残業して行う性格のものが多く、今の時代の働き方に合わなくなった

その一方で、下記のような形でQC活動を評価する声も根強く残っている。

・日本のQC活動はトップダウン発想ではなく現場発信のボトムアップ的、部門横断的活動であることに独自性があり、上からのお仕着せでない活動や部門の壁を越えた活動が現場のモチベーションや意識の向上、サイロ・エフェクトの抑止に繋がっていて、これがかつての日本企業の強さの源泉だった
・QC活動を通して現在の「仕事の進め方」や「プロジェクトマネジメント」の実践的な教育が行われていた。結果、ロジカルシンキングやプロジェクトマネジメント、仕事の進め方の研修はQC活動の中に強力な基盤があるのでわざわざ別立てで行う必要がなかった。
実際、QC活動をやっていた世代はこうした統計技法や提案/説得技法が得意であり、教育の効果として無駄ではなかった
・QC活動を通して人的ネットワークの構築があり、部門内外の人達との交流の場にもなっていた

現在でも新製品開発や新規サービス開発時には特殊任務チームを結成して合宿形式の会議や勉強会を行うプログラムの会社が多く、その代表的な手法であるデザイン思考も全社横断的な活動を推奨している。
また、現在も多くの企業が自社や自部門の問題を解決するためにファミリートレーニングを行っている。
これらの活動はQC活動の文化遺伝子的子孫と位置付けることができるだろう。

関連する研修⇒若手社員対象 工場の現場生産性改善(QC,IE,VE)基礎技法研修、問題解決力強化研修

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