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【行動科学】

行動科学は、人間の行動を実証的にデータ化/分析を行い、一般的な法則を確立して行動の統御、予測に役立てようとする学際的学問(2つ以上の学問に関わっている学問)のこと。
行動科学は領域として心理学、社会学、人類学、精神医学などを含むかまたは隣接している。
初出はシカゴ大学の心理学者ミラー(Miller, J.G.)らが、フォード財団に研究費の助成を申請する際に初めて用いられたとされている。

行動科学はミラーが初めて使った段階から「生物学」と「社会科学」の統合に重点が置かれていて、今でもその概念内容や守備範囲が明確ではない。
初期は心理学の影響が強く、社会心理学、行動主義心理学と非常に近い学問領域だったため、心理療法の理論的背景として発展した。
その後、心理療法の発展と共にその背景としての存在感は減衰したものの、ゲーム理論やシステム論の流入があって学問分野としての発展はいまだに続いている。
行動科学の学問としての特徴に、「原理原則論の追求」「知的探求」よりも問題解決に活用するための学問であり、そのための研究という色彩が非常に強いことが挙げられる。
そういう意味ではアメリカのプラグマティズム的な伝統を強く受け継ぐ応用学問であると言えるだろう。
また、心理学の知見がふんだんに織り込まれている一方で守備範囲が不明瞭で批判もあるという意味では、行動経済学、もっと言うとNLPとも少し似ている。

現在、行動科学はリーダーシップや組織マネジメントの世界で非常に強い影響力を持っている。
日本では1978年に出版された「行動科学の展開 入門から応用へ(ポール・ハーシィ、ケン・ブランチャード著、山本成二、成田政、水野基 訳、生産性出版)」という本が組織マネジメント、人材開発のために広く読まれたことが大きい。
2000年にも新版として本が出版されており、ビジネス書の中では非常に硬派で権威のある古典の一つとされている。
プロの研修講師にはこの本の熱心な読者が多いようだ。

他の学問の成果をある意味清濁併せ呑んで取り入れてきた応用学問は、「これって本当?」「証拠は?」「どういう実験の結果それが言えるの?」という批判が寄せられることが多い。
人材開発に関わる人にとっては非常に参考になる一方で、その「応用学問としての性格」を理解した上で取り扱うことが重要な分野と思われる。

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