HOME » 人財育成資料室 » 人材育成キーワード » 【現代型うつ病】
現代型うつ病とは、近年の若手社員を中心に見られる新しいうつ病のこと。
これまでのうつ病(以下、従来型うつ病と表記)は、罹った人が「何らかの喪失体験」をきっかけに発症し、「自分を責める」「(仕事に穴をあけたくない、病気で迷惑をかけたくない、病気と診断されたくないといった背景から)病院に行くことに対して抵抗する」といった行動をとるのに対して、「他人を責める」「病院に行くことに対して協力的(休むうえでの正当性が得られるため)」といった様子が見られ、更には「休職中なのにもかかわらず旅行する」といった行動様式が見られるという。
尚、「不眠に悩む」「職場で激しく落ち込む」といった症状は両方の共通項目として挙げられる。
まとめると、「症状依存性(職場ではうつになるが自宅では元気、旅行には元気に行ける等)が見られて」「うつ病のきっかけに対しての言動に他責性が目立ち(うつに陥った責任を自分よりも会社や上司に帰する)」「病者意識の希薄性(=休職を深刻に捉えていない)」を示す若年者の軽症抑うつ症状と説明することができる。
「現代型うつ病」の言葉が広く知られるようになったきっかけは、2011年11月22日(火)放送のNHKのテレビ番組「クローズアップ現代」である。
この番組内では
・20代~30代を中心に増加している
・従来の治療法が効きにくく、医療現場は混乱している
・企業側からすると求職者が増えて経営資源が圧迫される
といった状況が拡がっていると説明した。
また、「怠けている」と判断して解雇したところ訴訟問題にまで発展したケースもあるという。
尚、日本うつ病学会のガイドラインでは
・「現代型(新型)うつ病」は若年者の軽症抑うつ状態の一側面を切り取ったもの
・マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではない
・治療のエビデンスもない
としている。
従来型のうつ病と比較して現代型のうつ病は「本人の社会的未熟さ」が原因に占める割合が多い。
また、医師は患者の言うことを事実として受け止めるべきという考え方が医療の世界では前提にあるため、事態がより複雑になっていると思われる。
もしも本人が会社を休んでその場は良かったとしても、その後仕事を続けるにしても転職するにしてもこうした履歴があることは決してプラスで判断されるものではないため、本人の人生にも大きく影響することが考えられる。
根本的な対応が難しい種類の問題ではあるが、今後分析や対応策がより一層確立していくことが期待されているキーワードである。