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クリス・アージリスとドナルド・ショーンが研究した組織マネジメント論の中心概念。
クリス・アージリスは「学習と成長の意思を有する人に成長のチャンスを与え、自らも学習して進化する組織」と定義している。
変化の激しい時代には「優秀なトップのみが学び、方向性を示してメンバーはそれに従順に従うべき」という従来のマネジメントには限界があるとし、新しいマネジメントの方向性として「個人の学習と組織の学習を統合を目指す方向に潮流は変化している」とした。
ピーター・センゲが1990年に発表した「The Fifth Discipline」がこのジャンルを代表する著書である。
「The Fifth Discipline」ではそのタイトルのとおり、組織として学習するためには3つの柱を中心に、それぞれ以下の5つの規律/要素が必要、と説いている。
Ⅰの柱 志の育成
①自己マスタリー(自己実現)
・メンバー一人ひとりが自分自身の仕事の取り組みや役割を創造的に広げていく取り組みのこと
②共有ビジョン
・組織に所属するメンバー一人一人が共有する「私たち」のビジョンのこと
Ⅱの柱 共創的な会話の展開
③メンタルモデル
・組織や個々人の奥底にあるイメージやマインドのこと
④チーム学習
・ビジョンを共有するチームが協働して学びあうこと
Ⅲの柱 複雑性の理解
⑤システム思考
・人間の行動をそれ単体で見るのではなく、相互に関連するシステムとして捉える思考法
これらの要素は「企業組織に重要なものではあるが基準や指標として数値化しにくい、目に見えにくい」ものであり、結果その学習手法は統計学ベースの手法が多いQCの手法とは趣が異なっているのが特徴といえる。
この理論体系が当時アメリカで注目された背景として、アメリカの企業は従業員の離職によって会社に技能/知識/経験値的な蓄積が残りにくい場面が多々あり、その対策としての側面があると指摘されている。
ある一面では「アメリカ企業側からの日本企業の研究の産物」ともいえるため、「日本企業側がアメリカ企業を研究した」背景を強く持っている科学的管理技法とは対になる存在と言えるのかもしれない。
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