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ロール(role)は英語で「役割」、モデル(model)は「見本」の意味で、ロールモデルとはキャリア開発におけるお手本や規範になる存在のことを指す。
一般的にはその企業、その業界での先達、上司、目覚ましい成果を挙げた人をお手本にすることが多い。
人財開発の文脈では、キャリア開発の研修や新入社員のフォロー研修で登場するキーワードである。
ロールモデルを設定することで、一般的に下記のような6つのメリットがあるとされている。
①キャリアプランのイメージが持ちやすくなる
上司や先輩などの身近な人をロールモデルにすることで、「この会社で頑張ればあの人みたいになれる」という期待感を持ちやすくなり、自分の将来へのイメージが持ちやすくなるとされている。
②成長スピードの加速
先輩や上司と自分との間にあるギャップを目標として設定できるようになる。
また、身近にいる人の考え方や仕事のやり方をまねることで成長のスピードが加速する。
③社内コミュニケーションの活性化
ロールモデルにあたる人に対して「どんなことを考えて仕事をしているのか」「これまでにどんな経験をしてきたのか」と興味を持ち、コミュニケーションを取ることで社内のコミュニケーションの活性化を図ることができる。
④組織の活性化
社内のコミュニケーションの活性化の結果、組織としての動きが前向きなものになり活性化されることが期待できる。
⑤女性活躍、ダイバーシティ推進
会社の中に様々なステータスを持って活躍する人が増えることで、女性活躍やダイバーシティ推進の重要な要素の一つとなることが期待できる。
⑥離職防止
上記(特に①や③)の結果、10年、15年後の自分自身のキャリアを描くことができるようになり、離職防止に繋がる効果が期待できる。
ロールモデルは一人でなければならない、ということでもないので「良いお手本になる人」は複数いても全くかまわない。
現在の日本企業では「自分自身がこの会社で将来も働いている姿が想像できない」という理由で会社を辞めてしまう新入社員や若手も少なくない。
社内でロールモデルを持ちにくくなっていることが上記の理由と若手の離職増加に繋がっている可能性も指摘されている。
近年ではコミュニケーションの希薄化や他人の仕事を観察する機会の減少が起こっていて、その結果ロールモデルを持つこと自体が難しくなっている可能性がある。
現在のように変化が激しく、転職が当たり前のような状況では「あの先輩みたいになれる」という指標を持つのはなかなか難しいようだ。
そういう意味では意外にもかつての日本企業の考え方と相性の良い考え方だったのかもしれない。
ロールモデルのメリットをメリットとして効果あらしめるためには、社内のコミュニケーションと働いている人のメンタルが健全であることや、他人の仕事の様子を観察しやすい環境が必要である。
今後、コロナ禍から企業活動が元に戻るようであれば、人事部や管理職はそうした機会の創出を意識しておいた方が良いキーワードであると言えるだろう。
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