HOME » 人財育成資料室 » 管理職実践講座 » 8.管理職のオンラインマネジメント
日本におけるリモートワークの歴史は古い(1984年ころから)といわれていますが、なかなか普及しませんでした。が、2020年1月に端を発したコロナウイルスの影響で、日本国内でも2020年3月に「3密」を避けるようにという厚労省からの勧告があって、リモートワークが急速に拡がりをみせました。
そしてこのコロナが収束してもリモートワークはかなり残り、今後の多くの管理職にとってオンラインによるマネジメントは必須のスキルとなっていくと思われます。
オンラインマネジメントの取り組み方や注意事項などは多く発表されていますが、今回はこの根本的なところを整理しておきましょう。
オンラインマネジメント成功の鍵は、「システム」と「コミュニケーション」の融合にあるといってもいいでしょう。
先ずはシステムです。「インフラ整備」と「仕事の仕組み」と「評価」が柱となります。
①インフラについては、PCやタブレット、通信環境、セキュリティ環境、メンバーにとってはリモートワーク環境などです。これらについては新商品や新システムも多数紹介されており、多くを語る必要は無いでしょう。
②仕事の仕組みについては、二つのことがあります。ひとつは「目的・目標の明確化」です。これは従来から取り組んできている目標管理の考え方と中身が適用できます。が、ここでひとつ問題が… 従来の目標管理においても「目標が明確になっていない」という現実にどう対処するかです。目標とは数値化できれば「目標値」を、数値化できなければ「目標の達成レベル」を明確にすることです。
もうひとつは「プロセスとプロセス目標の明確化」です。業務プロセスが個人任せの上にプロセス目標が曖昧なままでは良いマネジメントはできません。以上の二つのことの明確化にはすぐにでも対処しなければなりません。
③評価については、結果評価のウエイトが高まらざるを得ないということです。この結果評価に対する妥当性、納得性を高めるためには、やはり②の仕組みが重要になります。実はこの評価に対して不安を持っているメンバーが実に多いのです。「何をどう頑張ってどういう結果を出せば評価してもらえるのか」がメンバーにとっては明確になっていないと解釈されているからです。この原因として上記②のことと、管理職とメンバーとの間で統合されてない、共有されていないことが大きな原因として挙げられます。この改善も大きなテーマといってよいでしょう。
直接会うことができないために気軽にFace to Faceのコミュニケーションがとれなくて苦労している管理職は実に多くいます。実は多くのメンバーも同じです。オンラインにおいてもより良いコミュニケーションをとっていく働きかけの鍵はやはり管理職の側にあります。
先ずコミュニケーション目的を整理しておく必要があります。
統合のコミュニケーションとは、管理職の想いとメンバーの想いを合致させるためのコミュニケーションです。最終目標やプロセス目標などにはどうしても両者のギャップが発生します。これを放置してはいけません。100%の合致はムリでも、極力高いレベルでの理解と納得をつくり出せるように話し合うことが求められます。
調整のコミュニケーションとは、管理職とメンバーの間で発生するギャップの調整です。仕事の進め方の調整や目標進捗の調整などです。
ただし、調整のコミュニケーションはこれだけにとどまりません。仕事を円滑に進めていくためには、ステークホルダー間で発生する様々な問題を解決していかなければなりません。その時に求められるのが調整のコミュニケーション力です。いずれにしても調整した結果が、関係者間で明確に共有されることが欠かせません。管理職と部下の間においては、密接な報連相が成される状態を創り出す必要があります。
直接的に言えばメンバーと仲良くなるためのコミュニケーションです。新人をはじめとした「付き合いの浅いメンバー」「お互いのことをよく知らないメンバー」とのコミュニケーンにおいては、この親密関係づくりを目的としたコミュニケーションが重要になります。方法は、世間話をしたり、雑談をしたり、近況報告を受けたりです。
お互いのことをよく知っている(と思っている)メンバー場合にもこのコミュニケーションは必要です。仕事環境が変わって肉体的にも精神的にも変化が生じている可能性があります。メンバーの感情を把握し、変化を察知できるのはこのコミュニケーションを通じてという場合が多いのです。
また、このコミュニケーションを通じて他のメンバーの近況を伝えることもチームワークの維持に一役買っています。
ただし、このコミュニケーションには少し注意が必要です。つい熱を入れ過ぎて、セクハラやリモハラになってしまわないようにしましょう。
これはオンラインでは難しいとされていましたが、お互いに慣れてきたこともあって徐々に広がりつつあります。コツは直接コミュニケーションとオンラインコミュニケーションをうまく組み合わせて使うところにあるといってもいいでしょう。
単純化していえばアイデアのテーマが見えてきたら、ブレーンストーミングなどを使いながらオンラインで進めていくことも十分できます。
大きく3つのコミュニケーションを紹介しましたが、管理職の側が目的を明確にして対処していくことが大変重要になります。
いかがでしょうか?細かい心構えやテクニックなども上手く使うに越したことはありませんが、今回ご紹介した根本的なことへの理解と管理職の側からの積極的な働きかけがなければ成功はおぼつかないといってもいいでしょう。
最後に「顔出しは必須」と考えてください。繰り返しですが、メンバーの感情は表情やしぐさに出てきます。仕事のこと個人のことの「実情を知る手掛かり」になります。