HOME » 人財育成資料室 » 管理職実践講座 » 7.管理職のチームづくり①
諸葛孔明の言葉に
『有制の兵は無能な将といえど破る能わず 無制の兵は有能な将といえど勝能わず』
というのがあります。
内容は当時の軍隊の話ですが、「統制のとれた軍隊は無能な将軍に率いられても負けない。
逆に、統制のとれない軍隊は有能な将軍に率いられても勝てない」という意味です。
意味合いは少し変わってしまうかもしれませんが、チームを率いる管理職の立場からすれば
メンバー一人ひとりが、そしてチーム全体が「有能な個人と集団になるか」「無能な個人と集
団で終わるか」に強い関心を持たざるをません。
そうして、忘れてならないことは、有能な個人と集団を創るのは管理職の役割であるということです。
ここでは強いチームづくり≒チームビルディングについて考えてみましょう。
チームの定義はいろいろありますが、今回は「事業やプロジェクトの目的を達成するために、メンバーが自律的に行動し、それぞれの持つ能力を発揮しあうことができる個々人の集まり」と定義します。(まさに「有制の集団」といっていいでしょう)
人を集めてグループを編成し、それを「チーム」と呼んだとしても、それだけで「チーム」ができあがるわけではありません。メンバー一人ひとりが持つ様々な知識やスキルを出し合って、共通の目的・目標を達成するために共同作業をするというお互いの約束があってはじめて「チーム」と呼ぶことができます。(この対比論から言えば、グループは「無制の集団」といえるのかもしれません)
しかし、グループであっても結果を出せるならばそれでいいのではないかという考え方もあるかもしれません。
これに対しては、自分をグループのメンバーとして考えてみるとその答えが出てきそうです。グループのメンバーとして管理職の指示の下で働くのと、チームのメンバーとして目的意識をもって主体的に働くのとでは、どちらに価値を見出すでしょうか? どちらに楽しみとやる気を見出すでしょうか?
事業やプロジェクトの成功を責務とする管理職にとっては、メンバーが自律的に動くチームをつくることの意義を理解し、そのやり方を身につけることは、とても大切なことなのです。
ある日を境に人の集まりが突然チームに変身するということはありません。
日常の地道な活動を通じて、時には浮き沈みを繰り返しながら成長して、効率性を高めていく姿が、チームができる現実的な姿であると言ってもいいでしょう。ですから、時には効率が下がることもあるのです。
管理職の立場からすれば、すぐに効果が出なくてもあきらめずに改善の手を打ち続ける、日々の浮き沈みに一喜一憂せずチームづくりに取り組む、そうした覚悟を持って活動し続ければ、必ずチームとして成長させることができます。
では、何をきっかけにしてチームは成長するのでしょうか。
最大の答えは「事業やプロジェクトの推進で発生する様々な問題」にあると言えます。
ということはチームづくり(チームビルディング)とは、現実の問題解決を通じてチームを育てていくことであるということができます。
そのための心構えと行動のとり方のポイントは、
・問題に遭遇するストレスは、チームの成長に必要な栄養分だと考える。
・管理職一人の力で解決しようとせず、問題が小さいうちに発見し、チーム全体の力を使って解決する。(これはパフォーマンスの高いチームが持つ能力なのです)
・問題を小さいうちに発見し解決する。一度にすべてを片付けようとせず、少しずつ取り組んでいく。
・最高の結果だけに固執するのではなく、小さな成功でも評価し、時には失敗から教訓を得られればよしとする。