HOME » 人財育成資料室 » 管理職実践講座 » 2.管理職の座標軸(役割コンセプト)とは何か②
実務での課題解決において、管理職の視点で課題解決ストーリーをつくるためには、自分の視座を一点に固定しなければなりません。これが管理職としての立ち位置を明確にするということです。
課題解決者としての視座が都度動くということは、問題との距離が都度変わるということであり、問題の見え方や捉え方そのものが変化してしまうことになります。これが優柔不断さを生む原因でもあります。そうして、問題に振り回されてしまっていつまでたっても成果を出すことができないという結果を招いてしまいます。
このことからして、管理職としての視座を明確にすることが、問題の本質を見極めることができ、「管理職として自分なりにどう解決するか」の課題の発見と解決ストーリーをつくることができるようになります。
管理職として課題解決に当たるためには、部下や他部署の関係者などを巻き込んで、解決活動を起こさせなければなりません。そのためにはコンセンサスをとる必要が出てきます。
「現状がこうなっている→この現状を打破しこうした状態に持っていかなければならない→そのために誰がどういう役割を担って、誰がどういう成果を出し→全体としてこういう成果を目指す」というコンセンサスをとるためには、どの視座から発信しているかを分かってもらう必要があります。
管理職は複数の課題を抱えています。取り組む課題の優先順づけから見れば重要度と緊急度から判断を下しますが、それでも、どの課題から着手するかを間違えてしまうことがよく発生します。着手段階になると様々な制約条件が出てきて「0か1か」の発想に陥ってしまいます。結果、とりあえず目の前のできることからという発想になってしまうのです。管理職としての視座を再確認し、必要に応じて目標レベルや納期を再考することで手段の選択間違いを防ぐことができます。
部分最適か、全体最適かの視点を失ってはなりません。全体最適の検討には一時的に、管理職としての視座を上げて考えてみる必要があります。事業環境判断の視野を拡大するといってもよいでしょう。場合によっては、上位に相談することも必要でしょう。例えば、課の成果が部の成果につながっているか、さらにそれが、支社の成果につながっているか…。
部分最適か、全体最適かのもう一つの判断基準が時間軸です。短期視点、中期視点、長期視点です。期ごとの短期業績責任が求められている管理職ほど、中長期視点が持てないでいます。業績でいえば今期成果と次期の仕込みの両輪が不可欠です。
中長期視点を持つということは、自部門をどうしていくのかのビジョンを持つことにもつながります。ビジョンのない管理職に部下はついてきません。このこともまた、管理職としての視座が明確であってこそ、本気で考えることができます。