HOME » 人財育成資料室 » クレーム解決塾 » Ⅶ クレーム解決の成功のポイント・失敗のポイント
お客様のOA機器にトラブルが発生し、サービスセンターに入電があったのが15時30分でした。エリア担当のサービスエンジニアである菊地さんが折り返し連絡をしましたが、お客様の営業時間が17時までであるために当日訪問することができず、翌朝の9時に訪問する約束を取り付けました。
翌朝9時に訪問すると、久保田総務課長が待ち構えており、矢継ぎ早に「なぜ昨日来られなかったのか」「あなたは何件のお客様を持っているのか」「あれが使えないとウチの業務に大きな支障が出ることを理解しているのか」「理由を教えて欲しい」と質問を投げかけられました。
久保田課長の勢いに少したじろいだ菊地さんは、思わず「1000件を二人で見ているので、予定が詰まれば訪問できないことはあります」「業務が止まることでご迷惑をおかけしたかと思いますが、ご了承ください」と伝えて、急ぎ修理に取り組みました。
約40分の修理を終えて、報告をしていると再び久保田課長から詰め寄られたのでした。
「契約する時に、トラブルがあった際は必ず1~2時間で対応するということを条件に導入を決めたということは伝わっているよね」「えっ! いや聞いていません」
菊地さんのそっけない反応に久保田課長は「もういい!帰れ!」と怒りを爆発させ、菊地さんは早々にお客様のところを辞したのでした。
菊池さんにしてみれば「当日訪問で調整できなかったのは仕方のないことで、怒られるようなことではない」という気持ちを持ったことは容易に想像できます。加えて「早く修理に取り掛かりたい」「次の予定もある」などの思いが、久保田課長への対応に現れてしまいました。久保田課長は「言い訳している」「真摯さに欠ける」「私の気持ちを理解していない」と受けとめ、怒りが爆発したと考えられます。
久保田課長の不満感情と質問の意図を押さえた、配慮ある対応(返事)が求められる場面であったということができます。
まとめ:すぐに言い訳してはならない
お客様の言い分をよく聞くという考えは持っていても、実際の対応場面で出てくるのが「言い訳」と「反論」です。
①「言い訳」: 「そんなつもりではないです」「マニュアルに記載されているはずですが…」「営業が説明しているはずなのですが…」
②「反論」: 「それはこうですよ」 「○○はそういうものなんです」「それは違うと思います」
実際には、私たちが主張しなければならないケースや場面も多くあります。しかしクレーム対応の初期段階における「言い訳」と「反論」はコトを複雑にさせるだけです。
私たちの主張は、状況を十分に把握してから…にしなければなりません。