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Ⅶ クレーム解決の成功のポイント・失敗のポイント

◆事例6 お客様からの電話に型通りの取扱い説明をして

ガス機器販売・工事会社S社に電話が入りました。
都市ガスへの転換工事に伴って、ガスコンロの取り換え工事を完了したお客様の井上様(奥様)からで、「以前使っていたガスコンロに比べて着火しにくい。ガスコンロがおかしいんじゃないのかしら…」というものでした。

電話を取り次がれた営業の清水さんが対応しました。井上様とやりとりし、取り扱い説明をしている中で、「このガスコンロは壊れているんじゃないかしら?」という問いかけに、清水さんは「今度の新しいガスコンロはそういうものなんです。ですから普通に使ってください」と。更に高機能の取り扱い説明に及ぶと「私には理解できないわ! これじゃあ使いこなすなんて無理ね…」に対して「いやぁ 誰にでもできますよ」と。
そんなやりとりが何度かあるうちに、井上様が怒り出し「もういい! 元のコンロに戻して!」と言われ、電話を切られてしまいました。
電話を切られて「あ、怒らせてしまった」ということに初めて気づいた清水さんは上司の渡辺課長に相談しました。

翌日、清水さんと渡辺課長が井上様を訪問し、電話での対応をお詫びし、直接説明することで、なんとかその場を収めることができましたが、井上様の表情に笑顔が戻ることはありませんでした。

 

失敗の要因

井上様が電話してきた不快感情、不安感情を読み取ることをしないで、型通りの取り扱い説明に終始したことが、井上様の怒りを買い、爆発させてしまった大きな要因になっています。井上様が抱えているトラブルには、トラブルそのものと、トラブルによって感じている感情(不安、不快、不満など)が必ずあります。その感情への関心が欠落していたと言うことができます。

加えて、井上様が不慣れであるにもかかわらず電話で取り扱いを説明するという対応は、井上様の不安をさらに高めてしまったようです。クレーム対応場面での説明は、井上様の理解度に合わせた話し方が求められます。ということは今回の高機能の使い方説明を電話でしてしまったことには疑問が残ります。訪問するか来店いただくかで直接ガスコンロに触っていただきながら説明する場づくりが必要であったと考えるべきでしょう。

 

まとめ:お客様の「感情」と「理解力」に配慮した対応が欠かせない

電話では声を大切にする必要があります。電話による対応の特徴は、お客様を見ることができないということです。お客様と声だけでしかコミュニケーションをとることができないということです。
お互いの表情が見えない分、声に感情を込めることでしか「誠意」や「気持ち」を伝えることができないのです。

特にクレーム電話では受話器の向こうに、明らかに様々な感情を抱えたお客様がいるのです。お客様の不満や不安に共感する「気持ちを込めた発声」が必要になります。
お客様の感情に共感する言葉と声で、お詫びしながらお客様が抱えているトラブルやそれによる不満情報を丁寧に聞き出すことができなければ、クレーム解決はできません。

 

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