HOME » 人財育成資料室 » クレーム解決塾 » Ⅵ 電話クレーム対応の基本
◆ケーススタディ1
1)それでは近隣住民のXさんはA社に対しどのような期待を持ち、またはどのような不安を持っていたのか、その心情を探ってみましょう。
<Xさんの期待>
① A社はテレビCMを流しているほどの大きなハウスメーカーだから、近隣住民の請願を無視することはないだろう
② このような入電事例は過去にもあったろうから、組織として現場の工事責任者に何かしらのアクションを指示してくれるだろう
③ 工事に関わる安全対策の一貫として捉え、近隣住民の不安解消のために、きっと前向きに取り組んでくれるだろう
<Xさんの不安>
① 新築工事とは全く無関係な一近隣住民からの請願など、相手にされず放置されるかもしれない
② 本件は本社お客様相談センターにではなく現場の工事責任者に直接交渉するように投げられてしまうかもしれない
③ 交差点の危険性と工事現場は無関係だと言われクレーマー扱いされるかもしれない
2)つぎにA社担当者はXさんからの入電に対し、どのようなスタンスでどのような対応を取ったのでしょうか。
<A社担当者のスタンスと対応>
① A社お客様相談センターは、お施主様だけではなく近隣住民からの入電に対しても誠意をもって対処することを心がけている。また間違いがないように音声録音の許可を得ている
② A社担当者はXさんの入電内容は苦情クレームの域ではないと判断したが、けっして軽く受け流すようなことはせず、ていねいな応対につとめた
③ A社担当者は「現場の工事責任者にXさんの電話内容を伝え安全対策を徹底させます」とXさんに即答した
結果は下図のように即日、工事看板は他の場所に移動されました。また、2日後にはカーブミラーが取り付けられました。
Xさんは、工事看板の即日移動に、不十分さは感じますが放置されることなくA社が迅速に対応してくれたことに満足しました。その2日後にはカーブミラー(交差点に設置される背後がオレンジのミラー)が取り付けられ、右方向からの直進車両の確認ができるようになりました。XさんはA社の真剣な対応に驚き、感激しました。
「さすが、大手一流ハウスメーカーはやることが違う。素早く安全対策を講じてくれた」
お客様相談センターにはさまざまな入電がありますが、常にA社担当者のようなスタンスと対応が求められます。ひとつ間違えると小さな「事故」が大きな「事件」に発展しかねないからです。